10.謎の錯覚浴室-丸進別館
どんな鄙び宿かと思ったが、意外に普通の外観だった。
温泉旅館と言うより普通の民家っぽい。
一時期しばらくの間休業していて、それから復活したらしい。
丸進別館という名の通り、本館が鳴子温泉にあったらしいが今は別館のみの営業なのだそうだ。
屋代さんの案内でスリッパに履き替え、廊下の突き当たり、左右にある浴室に連れていってもらった。
左が大浴場、右が小浴場。
入浴人数によって入れ替えるという。今は幸い、女湯が大浴場だった。
浴室は外観よりも鄙びていた。
浴室内にゆでたまごのような臭いが漂っている。
お風呂はひょうたん型で緑色がかった透明のお湯だ。
掛け湯をして入るとうわぁ、本当ににゅるにゅるとする。凄い凄い。思わず体中をなで回してしまう。肌がとろけていくようだ。
湯口の周りは岩を固めてあって、そこから石を伝ってお湯が流れてくる。鳴子は源泉温度が高いところが多いので、適温の浴槽を造ろうとしたらどうしてもドバドバ湯が出ているというわけにはいくまい。でも十分だ。これだけのお湯だもの。
湯口に近づいたら途中から表面が凄く熱くなった。ちょうど熱湯の流れてくる筋にあたったらしい。手だけ伸ばしてほんのちょっと源泉に触れたら危うく火傷するところだった。