3.高速バス乗り場が見つからない
荷物はコンパクトにまとめることを最重視した。
車の旅行じゃないだけでなく、極力コインロッカーを活用するにしても山の辺の道に行くときには荷物を持って歩かなきゃならない可能性大だし、それ以外でも到着日と翌日は移動が多い。最終日は宿から宅急便で送ってしまうとしても。
衣料品を減らしてもカメラが重いんだよなぁ。特にズームレンズ。これは仕方ないけど。
左方向にJRの高速バス乗り場があるという看板を見つけたので、しばらくそちらに歩いた。南口を出て左に進み、大きなビルの基礎工事をしている工事現場の先で右に曲がる。この簡単な作業すら、立体の新宿駅前ではスロープを下ったり階段を下りたりする必要がある。JR高速バスの看板に従ったのは、以前使ったことのある西口の高速バス乗り場のようにいろいろな会社の高速バスが使っている大きなターミナルのようなものをイメージしていたからだ。
しかししばらく歩くとそのJR高速バス乗り場は代々木駅近くまで歩かなくてはいけないことがわかった。それは変だ。新宿駅より代々木駅の方が近いなら、最初から地図にそう書いてあるはずだ。
一度振り出しに戻る。南口に戻ってきた。
スマホを起動してグーグルマップを開いた。最終手段だ。
ところが先日スマホを壊して機種変更した私はこのスマホでグーグルマップを開くのが実は初めてで、いきなり登録画面が出た。何をどう登録しろと? 今、こんなことしている暇は無いよ。地図だけ出してくれればいいのに。なんでこんなことに。
ここで私がなけなしの土地勘から出口から右へ歩いてみようと提案するが、それだと地図とルミネの位置があわないと子供たちの意見があり、何しろ自分にも全然自信が無かったもので、今度は左に歩いた後、曲がらずに直進してみた。
どんどん景色は大きなビルの立ち並ぶ整然とした都会から、何やら薄暗い場末の様相を帯びてくる。
不安になって見つけたコンビニに飛び込んだ。そろそろ集合時間まで10分を切っている。間に合わなくなる危険性が高まってきた。