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滑川温泉湯治日記1-7


7.大滝宿

 さて、思いの外ふくしまスカイパークは面白かったが、結局腹ごしらえはできなかった。
 再び13号線に戻り、何だか前にもこんなことがあったとパパと話をしていた。
 前にこのあたりに来たときも食事処が無いと言って、街道沿いのラーメン屋に入った気がする。確かあれは・・・山側じゃなくて谷側で、ドライブインみたいな店だった。
 そんな話をしていたら、目の前にラーメン屋が現れた。
 ラーメンショップ←これが店名。
 これだよ。あのときのあの店。
 結局このあたりにはここしか食べるところが無いのね。
 醤油ラーメンと味噌ラーメンを注文するが、見た目はそっくりのスープの色。でも食べ比べればちゃんと醤油と味噌。

 そしてこのラーメン屋とくれば、もうひとつ思い出す場所がある。
 それは・・・大滝宿。
 いやいや雪の中ライトアップとかするので有名な大内宿じゃない。大滝宿。知ってる?


あとで滑川の湯治部でも話題になったラーメンショップ。
このあたりにはここしか食べるところが無いのだ。
だから結構みんな知っている。 えーとこれは味噌ラーメン。
でも見た目は醤油ラーメンでもスープの色がそっくり。


 13号線を行くと、枝道が現れて大滝宿と書かれた表示が見える。
 実は、その7、8年前にも、ここには何があるのだろうと曲がってみたのだ。
 宿と聞いて想像したのは、馬籠とかそんな感じ。江戸時代の面影を残す風流な宿場町でもあるのかと思った。
 それが、そこにあったのは鬼気迫る廃村一歩前状態だった。
 入り口に茶屋があり、その奥には、数軒の古い家屋。
 どの家もひと気がなく、中をのぞき込めば荒れ放題。家の外側は朽ちかけて、中は生活感を残したまま半倒壊していた。
 人が家を見捨てると、こんなにも簡単に荒れ果ててしまうのかと空恐ろしくなるほどだった。
 そんな中、まだちゃんと人の住んでいる家もわずかに残っており、どうぞ悪戯しないでほしいと張り紙もあった。

 あれから数年が経過して、果たして今、あの大滝宿はどうなっているだろう。
 一度は通り過ぎたが、再びターンして戻ってきた。
 時間もあるし、見ていこうか。

 枝道のところの怪しげなドライブインと、大滝宿の入り口の茶屋は以前とまったく同じようにあった。
 その奥に車を走らせれば舗装路はすぐにダートになる。
 おかしいな・・・確かこのあたりに村の跡はあったはず。
 しばらく先で三軒の青いトタン屋根の家を見つける。古びてはいるけれど、現役のようだ。とすると、当時半倒壊していた家々はどうなったのだろう。

 戻り道、注意してみればときおり廃材が散らばっているような場所がいくつかあった。
 そうか、当時すでに崩れ掛けていたあれらの家は、今や完全に朽ちてしまったのだ。
 あのとき感じた鬼気迫るものは、すでにこの地から消えてしまったようだ。


大滝宿の入り口にある家。ここは手入れが行き届いていて綺麗になっている。

産業廃棄物を捨てに来る不届きものもいるらしい

一軒だけまだ姿をとどめていた。
当時はもっと凄まじい家がいくつもあった。
今はそれらは全て倒壊してしまった。 




1-8.五色温泉に寄っていこうへ続く


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