◆◇長崎旅行記◇◆
小浜温泉湯祭りとハウステンボス
11.桜の名所 橘神社
千々石の町中を抜けたあたりだったろうか。
ふいに様子が変わった。
左手に何か曲がる道のようなものがあって、前方の車が一台、また一台とそこへ曲がっていくように見えた。
何だろう? 駐車場?
バスがじりじりとそちらに近づく。
観光地の駐車場のように見える。
こんなところに観光地なんてあったっけ?
棒を持って車の流れを整備している係り員が見える。
曲がろうとする車を追い抜いて直進していく車も見えた。
このバスもそうすれば良いと思ったが、どうもその曲がり角の手前に一つ停留所があるようで、バスはそこに停まらなくてはならないらしく、やはりじりじりと進む。
ようやく停留所に着いた。
乗客が乗ってきた。
停留所を過ぎると左手にあるものの全貌が見えた。
桜並木がずっと奥まで続いていた。
入り口に軍人然としたおじさんの銅像が立っている。
堂々とした石造りの鳥居。
そして真っ青な空に映えるあでやかな桜、桜、桜。
桜並木は一本の筋となって山の中腹まで続いていた。
ここは橘神社。
日露戦争で戦死した橘周太陸軍中佐を祀る大きな神社で、長崎県内では諏訪神社に次ぐ正月参拝者数を誇る・・・というのは後から知ったことで、県外の、特に本州からの観光客はほとんど知らないためガイドブックには記載されていないが、地元の人にはつと知られた花見名所だったというわけだ。
おりしも満開。
日曜日。
快晴のぽかぽか陽気。
近隣の人々がこぞって桜を見に来るにはあまりにも整いすぎた条件。
千々石の大渋滞は、橘神社の花見渋滞だった。
やられたよ。
こんなの観光客に予測できるわけないじゃん。
泣くぞ。
あまりにも花見日和だったことが予想外の大渋滞を招いていた