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◇◆赤倉温泉◆◇
子連れスキーと温泉旅行

4.雨に追い立てられるように










 ふと予感がして顔を上げると、目の前の山が半分欠けていた。
 「・・・ねえ、山が見えなくなったよ・・・」
 そう、さっきまで雲は高く、遠くの山まで全て見えていたはずが、いつの間にか近くの山も半分雲に覆われていた。
 低い雲が流れてきた。
 何だかやばそう・・・そう思ったとたん、ぱらぱらと大粒の雨が落ちてきた。
 やっぱり!!

 ほとんど食べ終えていたので最後だけ少しスピードを上げた。
 焼き始めたばかりのお客さんはそそくさと荷物をまとめて屋内の席へ移動していった。
 可笑しかったのは隣にいた若者のグループ。
 さっきまで焼き係を除いてテーブルでのんびり食べていたのに、お前ら急げとばかり、一斉にバーベキューコンロの周りに集まってめいめい死にものぐるいで食べ始めた。
 天気予報は曇りから雨。
 晴れ間が見えただけラッキーだった。
 この雨は夜まで続くはずで、もう天候の回復はのぞめない。
 それどころか・・・暖冬と早い春の訪れで、もしかしたらこれきり今シーズンはクローズかも。

急げ急げ~とにかく食い尽くすんだ~



 「美味しかったです。ごちそうさま」
 食べ終えた皿を返しに行くと、ビュッフェのおばさんが「残念でしたねぇ、降って来ちゃって」と忙しく働きながら言ってきた。
 「おばちゃん、おばちゃーん!」
 少し離れた室内席の出入り口からもおばさんを呼ぶ声がする。
 だぼっとしたウェアの日焼けしたイマドキの若者だ。
 「はい、何ですかー?」
 「おばちゃん、俺、ゲレンデでこんなに美味いラーメン食えると思わなかったよ、マジで」
 「はーい、ありがとうね」
 おばさんは嬉しそうに手を振った。

 冷たい雨が顔に当たるのをがまんして、下まで滑り降りた。
 これで最後だとみんなで決めて、もう一回だけ熊堂ゲレンデのクワッドに乗り中央のパノラマコースを滑り降りた。
 カナは特にゆっくりゆっくり滑っていた。
 急いで降りちゃうと、それだけ早く最後のスキーが終わっちゃうからと。





これで最後だ




3-5妙高山麓直売センターとまとへ続く


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