9.黄昏富士のシルエット
それから子供たちがスポーツドリンクが飲みたいと言いだし、まあさっき誰かさんは結局トランポリンできなかったなというのもあって、もう一度浩庵受付まで戻った。
ここはちょうど五千円札の富士山として有名なビュースポットだ。
富士山が見えようが見えまいが、いつも何人か観光客がいる。
夏場は霞んで見えないことが多く、去年も二度の滞在で明け方に一度シルエットで逆さ富士が見えたきりだった。
今日もカップルが見えない富士山に向かってシャッターを切っていた。
パパが頼まれて本栖湖を背景に二人の写真を撮ることになった。
「見えないなんて残念だなぁ」
「結構見えないんですよ、昨日から泊まっているけど富士山が見えたのは二日間でほんの5分ほど」と私たち。