7.山梨の人は太っ腹だ
帰りがけ、精進湖の側で、行きにも気になっていた桃の直売所に寄った。
山梨と言えばフルーツ。甘い桃が食べたい。
時間がないので一人だけで車から降りると、直売所のおばさんが、旦那さんは降りてこないの?と聞く。
降りてきても果物嫌いの彼は桃の匂いをかぐのも嫌かも。
「急いでいるので」と答えると、おばさんは「今洗ってきたから」と立派な桃を一個差し出した。
一個だよ。試食用にとナイフで薄く切ったようなやつじゃない。
「このままかじっていいの?」
「洗ったから大丈夫」
がぶり。
うわー、おっいしい。
で、でも、そこに並んでいるような箱入りの贈答用を買うつもりはないんです。今夜一個食べられればいいかと・・・。
「ばらで売ってますか?」
「ばらでも、複数でも料金は一緒なのよ。一個200円」
200円出せば近所のスーパーでも1個か小さいの2個は買える。でもこんなに美味しい桃にあたる保証はないし、何よりここで売っているサイズは350円以上出さないと買えないような大きいやつばっかりだ。
ええい、奮発して・・・
「ばらで二個下さい」
奮発して二個かい・・・。
「今夜食べたいので、食べ頃のやつを」
「じゃあ柔らかいのを選ぶわね」
と、二つ袋に入れてくれて、
「400円」
えーと・・この一口かじった試食用のやつは・・・もらっちゃっていいのね。
2個分の値段で3個もらったような気がする。
山梨の人はふとっぱらだ。