11.人の振り見て我が振り直そう
そんな感じでお湯的には悪くないのだが、ここはあまりに子連れマナーが悪すぎた。もう、悪いなんてものじゃない。これまで見た中で最悪最強。
何しろ女湯の客の半分が幼稚園-小学校低学年の子供だった。そしてみんな地元の子たちらしい。何となくみんな知り合いらしいのだ。
連れているのは親だけでなく祖母とおぼしい年齢の人も複数いる。しかし誰もこの事態をまったく異常とは思っていないらしい。きっとこの温泉ではこれが日常なのだろう。
子供たちは浴槽に飛び込む。潜る。泳ぐ、それもばた足だ。一人じゃない。あっちでも、こっちでも。しつこいくらいに何度も何度も。
親たちが子供たちを注意するのはこのことだけ。「走っちゃ駄目。滑って怪我をするでしょ」
入っているこっちの顔にもばしゃばしゃ飛沫がかかる。迷惑そうな顔をしていると、不思議そうに見られてしまう。
その目はこう言っているようだ。
部外者なのは、あんたでしょ。
レナは、ねえ、潜っていいの?ママ、と小声で聞く。
いいわけないでしょ。
潜っていいのは自宅のお風呂だけ(自宅は許可している)。
はぁ・・・・。
今の私の出来るのは、人の振り見て我が振り直すことだけね。
気をつけなきゃ。
お風呂上りは
やみなみ温泉で夕食も軽くとっていくことにした。
ここで変わっているのは、大広間休憩室兼食堂に業者が二軒入っていることだ。窓口は並んで二つあり、席には二種類のメニューが置かれている。注文も食器の返却も、それぞれの業者ごとに行う。どちらも麺類が主力で、何で二軒?ととっても不思議。
ゆっくりしていたら渋滞もほぼ解消されたようだ。高速道路の表示はまだ赤字だったが、もうこの渋滞はほどけかけた糸のようで、ほとんどストレスを感じなかった。
子供たちが後部座席でそろって眠りについたのは、自宅に着くほんの5分前。