6.これこれ、これが本当の宝川温泉
それからみんなでおしゃべりに花を咲かせながら、般若の湯、摩訶の湯へと移動した。
途中で晶さんとえんぴつさんが、対岸を歩く怪しい男性を発見。
「見て、犬の散歩させてるよ。お風呂丸見えじゃない」
客なのか、従業員なのかと思ってみると
「あれ、犬じゃないよ、小熊だ」
「えーっ」と一同。
子供たちがわーっとお風呂から上がり川沿いの柵に取り付く。
「本当だー」
「熊ちゃんだー」
「かわいいー」
宝川の小熊はくーちゃんとまーちゃん。ひねりも何もないネーミング。
露天風呂から小熊の散歩が見える。
やはり流石は宝川。
余所の温泉とはちょっと違う。
最後にメインの摩訶の湯へ。
ここもかなり広い。
ざばざばとみんなで中央目指してタオル巻で歩く。
あれ、一番奥の方が前来たときと少し違っているようだ。
一昨年来たときには湯口のところは長い樋になっていて、それもあってよりお湯がぬるく感じたのだが、今はお坊さんのような漆喰像の足下からお湯が出ている。
そしてその湯口のところに近づくと・・・
「あれっ、ゆで卵臭だ」
浴槽ではちっとも臭わないのに、湯口のところだけゆで卵の臭いが漂っている。
前に来たときも感じた。
あのときは湯口でも臭わず、何故か露天風呂の手前の遊歩道で臭っていた。
これだこれ。
何だか活きた源泉という感じ。
女四人、湯口の周りを取り囲むように腰を下ろす。
「これだよねぇ」
「ここが一番鮮度感有るよ」
「ちょっと熱いけど」
「この一番奥の湯口の周りが本当の
宝川温泉って感じだねぇ」
さらにその右手にちょっと高くなった湯船がある。そこにも登ってみた。
湯口が二つ。
他に入浴客がいるにも構わず四人で代わる代わる湯口の前に詣でてお湯を手ですくっている。
・・・思いっきりへんてこりんな宗教集団みたいだ。