相変わらず空は曇って汚れた雪のような色をしているので、もう日が暮れるのかまだそんな時間じゃないのかよく判らなかった。
芝峠温泉の看板に従って道を登っていくと、だんだん路上の雪の量は増えてきたが、昨日の2号館へ行く道筋ほどではない。
左手が開けて見晴らしがよくなってきたと思ったら、芝峠温泉に到着した。
宿泊客のものが大半なのか、駐車場はかなり混雑している。
駐車場の一角に雪だるまの作りかけかと思う大きな雪玉が転がっていた。
早速子供たちは飛びついたり蹴りついたり。
急ぎたいパパはイライラして早く来いと呼びかける。
駐車場は道路より一段低い場所にあり、駐車場から
芝峠温泉雲海の建物まで行くには雪の斜面を登らなくてはならない。
一応、みなが上り下りするので歩きやすいよう雪を固めて道を作ってあるが、上から降りてきた男の人がつるりと滑って尻もちをついたのを見たとき嫌な予感がした。
「カナー、レナー、早くー」
慌てて雪玉と戯れるのをやめて走ってきた子供たちだが、カナはともかくレナがどうしても登れない。
上ろうとするがつるつると滑り上に進めない。
上からカナと私が手を差し伸べたがそれでもなかなか登れない。
何度も雪の坂にばったりと倒れてしまう。
堪忍袋の緒を切らしたパパが「いい加減にしろ!」と大声を出したが、こちとら遊んでいるわけじゃないって。
ようやく辿り着いた雲海の入口。
中は暖かく、階段を上るとすぐに椅子を並べた簡易な休憩所と言うか、待合室のようなものがあり、日帰り温泉客が大勢くつろいでいた。
男湯に行くパパとはここで別れ、私は子供たちを連れて女湯の暖簾を潜った。