◇◆がんばれ新潟◆◇
雪国のお正月2007
グリーンプラザ前からゲレンデまでは、今度は急な雪の斜面を下ることになる。
歩いて降りるのは大変だし、板は下で外してきてしまった。
これはお尻で滑り降りるしかない。
なんかちょっと間抜けな姿。
さっきのポケモンのシートカバーが掛かったリフトではなくて、一番右のロングコースのリフトに乗った。
そろそろ帰り道のことを考えなくてはならない。
このリフトは四人乗り。家族みんなで一緒に座れる。
やっぱり広い大きなスキー場はいい。
こぢんまりしたところも練習するにはいいんだけど、広くてコースが沢山あると飽きない。次はどんなコースかなとワクワクする。
リフトは結構長く、随分と上の方まで上ってきた。
これで終わりかと思ったら、もう一本リフトを乗り継いだ。
とにかく車を置いた大沢ゲレンデの方に戻らなくてはならないから。
午後から滑り出したにしては、もうずいぶん長いこと滑っているような気がする。
コースの途中にかなり急な斜面があった。
コースの巾はまあまああるが、斜度がきつく表面が荒れている。
人も多く、あまり上手くないスキーヤーが何人も途中で立ち止まっていた。
レナは今までの滑りを変えず、すいすいとターンしながら滑り降りていく。
驚くべき安定度だ。
この斜面に来て、初めてカナが躊躇した。
今までのコースは、スタイルはどうあれカナも苦労しなかった。増していつもボーゲンで直滑降するので下に着くのも一番速く、ターンしながら降りてくるレナのことを自分よりも遅いと鼻で笑っていた。
真っ直ぐ降りるよりもくねくね降りる方が距離としては長くなるので、実際の速度はレナの方が速いのだが、本人はそれと気づいていなかった。
降りられない・・・とカナは立ちすくんでしまった。
パパがサポートに入る。
レナは一人どんどん降りてしまったので、私がレナについていった。
いやはや本当にレナは上手い。舌を巻くほど。
なだらかなコースでも急斜面でもまったくペースが変わらない。
1/3ほど降りて、それからレナと一緒に立ち止まって上を見上げると、ようやくカナが降りてくるところだった。
もしかしたら自分に負けて降りられなくなるのではと危惧したが、そこまで弱くはなかったようだ。
落ち着けばなんとかなる。斜度がゆるくなったところで、ホッとしたカナはまたスピードを上げた。
ようやく最初に見上げた大沢ゲレンデに戻ってきた。
最後の斜面はきつすぎるほどではないけど、やっぱり気を抜いて楽々滑るには急だ。
そろそろ時間は3時を回って、足はがくがく、そろそろ上がりたいという気になっていた。
「みんなまだ滑るの? ママはここで休んでいるからパパと子どもたちだけで行ってきたら」
「私も休む」
意外なことにカナもそう言った。
さっきの急斜面のこともあって精神的にも疲れたらしい。
「レナはもっと滑りたい」
レナだけはまだ滑り足りないようだ。
「じゃあこうしよう」とパパ。
「もう一本だけみんなで滑って、それからお風呂に入って帰ろう」
この決断が後に続く厳しい道のりの始まりだったとは、誰も予測しなかった。