10.大晦日の夜は大騒ぎ
子供たちは食事を終えたらお風呂に入った。
前に1号館の露天風呂でお風呂に入りながら雪遊びをしたことが忘れられなかったらしく、こっちのお風呂は嫌だなんて言っていたが、浴室の窓を開けて雪が取れるようにしたらもう夢中だった。
風邪を引かない程度に好きなように遊ばせた。
子供がどんなにはしゃいで大きな声を出しても、誰も文句を言わないのが貸民家みらいの良いところだ。
お風呂に入って少し遊んだら、もう子供たちは寝る時間。
テレビでは紅白歌合戦。
yuko_nekoさんが「みのもんたが司会なんて世も末だ」と感想一言。
苺を発酵させたスパークリングワインなんかも開けて、もうすっかりいい気分。
あれ? がっちゃんは寝ちゃった?
実はさっき若井さんが帰る前に、初詣の場所を確認しておいた。
去年1号館に泊まったとき、1号館のある蓬平地区の氏神さまである松芋神社にお参りしたが、そのとき若井さんに「新年開ける夜中の12時に、集落の人たちが次々通りに出てお参りするから、その後についていけばお宮の場所は判る」と教えてもらった。
「2号館のあるここらの集落は人が少なく10軒程度しか家が無いから、12時を過ぎるともう人がいなくなってしまうかもしれない。なるべく早く出た方がいい。
場所は2号館を出て右手にある家の裏手を登っていったところ。
今日これから村の人がお宮までの道を踏み固めて通れるようにしてくれるはずだ。この雪だと踏み固めるのも大変だろう。
去年2号館に泊まったお客さんもそこにお参りして、村の人たちに喜ばれたって言ってましたよ」
「じゃ、暗くなる前に道を確認しておこうか」という男連中に、「いや、まだ道はできていないと思う」と若井さんが言って、そのときはそれで終わってしまった。
テレビはもう紅白歌合戦が終わり、ゆく年くる年に入っている。
そろそろ二階で寝ているがっちゃんを起こさないと間に合わないんじゃ無かろうか。