8.友人たちの到着
午後4時過ぎ。
お正月を一緒に過ごすyuko_nekoさん一家が到着した。
yuko_nekoさんとがっちゃんと、小学三年生のちび姫ちゃんだ。
がっちゃんはつい先日、台湾に出張に行って、出張先で胃潰瘍になったばかりだ。
日本語も英語もろくに通じないようなところで、痛くて医者にかかり入院するなんて、本当に辛くて心細かったんじゃないかしら。
この年末年始の休暇が少しでもストレス軽減になればいいけど。
三人はみらい2号館の意外な暖かさに驚いたようだった。
去年一緒に過ごした1号館は笑っちゃうほど寒かったから。
1号館はとにかくどの部屋も寒い。暖房を片っ端からつけても寒い。おまけに私は忘れていたが、yuko_nekoさんは台所にお湯が出なかったと言った。
そう言えばそうだったかも。洗い物とか少しすると指がちぎれそうに冷たかった。
5号館で暖かかったのは狭い炬燵の部屋だけだった。
あれは広い囲炉裏の間は、立派な梁を活かそうと天井を張っていなかったから熱がみんな上へ逃げてしまったからだ。
確かにあの梁は格好いい。でも、あまりの寒さに若井さんもあの後ついに天井に板を張ったと言う。本当は夏は天井無し、冬は天井有りが一番都合が良いのだが、シートを貼って取り外すなどいろいろ考慮した末、やっぱり普通に天井を作ることにしたらしい。
おかげで今は5号館も暖かくなったと評判ですと若井さん。
でもそれでも5号館は台所が寒い。
5号館の台所は土間にあるので、天井は無いし外の気温そのままだし、おまけに調理や洗い物の度に靴かサンダルを履かないと行かれないのがなかなか難儀なのだ。
「冬は2号館だね」
「2号館ならまた来てもいいや」
「1号館は夏向きでしょう。露天風呂もあるしね」
「来年のお正月も2号館かな」
もちろん2号館にも欠点はある。
暖かいと言うことは密閉度が高いと言うことで、囲炉裏の煙が逃げていかない。
目が痛くなるほど部屋は燻されていた。