14.カエル池転落事件
パパが家の裏に回って、浅い小さな池を見つけた。
後から家主の若井さんに教えてもらったが、地滑りの危険を減らすため水抜きを行ったところ各家で使っていた井戸水が枯れてしまい、代わりに抜いた水を集落の上までいったん引き上げてそれをまた各家庭に分配しているのだそうだ。
飲用には適さないが洗い物や風呂水に使えるこの水を、みらいでは裏の池に流している。
この辺りの家が各々小さな池を持っているのは、融雪のため、屋根から降ろした雪を溶かすためだというのも初めて知った。
地下水や湧き水は冬でも7、8度あるので、池に入れると雪は溶けるのだそうだ。
「池の方、見てご覧よ」
「カエル?」
見る前に答えている。
「なんで判ったの?」
だって如何にも池にはカエルがいそうなんだもの。
のぞきに行くと、あれまあ茶色っぽい大きなカエルが沢山藻の上や石の上に乗っている。
カナとレナもやってきて、カエルだカエルだと大喜び。
カナはおたまじゃくしも見つけた。
去年秩父で捕まえて家で飼っていた黒い小さなおたまじゃくしじゃなくて、いかにもその殿様カエルに成長しそうなこれまた巨大なおたまじゃくしだ。
二人はカエルに石を投げ始めた。
当てるためじゃなくて、カエルが逃げるのを見たくてだ。
まさか池に落ちないだろうね。
しかし、カナがトイレに行き、私もパパも目を離した隙に・・・
「ママ~ァ、落ちちゃったー」
と世にも情けない泣き声が。