日進館が取り壊されて国有地になってしまうことについて、前日にyuko_nekoさんは硫化水素ガスの危険が高いエリアだから国が召し上げたのではないかと推測していたが、この意見になるほどと思いながらも、こうして旅行記をまとめている今、私はさらに思いついたことがあった。
2001年の豪雨による鉄砲水で日進館は大変な痛手を受けた。
当時は苦湯の他、滝湯、真湯などもここにあったようだし、鉄湯やラジウム湯も男女別だったようだから、今よりかなり大きな建物だったと思われる。それだけでなく、当時の写真を見る限りでは、ゆけむり荘寄りに宿泊棟のような建物も見える。
日進館が災害に見舞われた後、
万座温泉ホテルとしては再建を希望したと思う。
それを妨げたのは国立公園法だったようだ。この地区は国立公園内として建設関係は様々な規制が行われている。
今回、現在の日進館の土地を国有地として国に譲り渡す代わりに、高台に新館である日進館湯房の建設地を得たという話を総合して考えると、秋田県泥湯の例もあり硫化水素ガス危険エリア内の民間施設を排除したい国と、客室数を増加させ収容人数を増やして利益を上げたいとするホテルの利害が一致したということなのではないだろうか。
もちろんこれは単なる個人の推測。
何も根拠はない。
もしかしたら国は硫化水素ガスの危険性など何も考慮していないのかもしれないし、ホテルも日進館再建が不可能ならせめて新館をという苦渋の決断なのかもしれない。
ただ判っているのは、今の日進館と今の鉄湯、ラジウム湯には、もう今年の12月までしか会えないということだけだ。