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◆◇九州温泉巡り旅行記◇◆
阿蘇-長湯温泉-黒川温泉

3.御前湯










 浴室もやっぱりドイツ風だった。バーデなんちゃらって名前がついていても不思議ではない感じ。
 石の床に半円形の浴槽が二つ。プールに入るような金属の手すりがついている。
 洗い場の壁もカーブしていて、全体的に角の少ない設計だ。

 お湯は黄緑色の濁りが強く、底が見えない。
 内湯のひとつが冷鉱泉で、冷鉱泉も濁りがあるが温かい方よりそれは薄い。
 この冷鉱泉は3階にも引かれているので、1階単独、2階単独、共通冷鉱泉と全部で三種類の源泉があるようだ。



朝の御前湯はとても空いていた。というか独占。



 内湯の浴槽は深めで二段になっている。最初気付かなくて足を踏み外しそうになった。
 浴槽の内側はやっぱり析出物のごてごてがついていて、背中を当てると痛い。
 お湯の表面にはなにやら油膜のようなものが見える。
 天井が高く、窓の面積も広いので、他に誰もいないこの浴室にいると、お金持ちになったような贅沢感があった。




 露天風呂もある。
 露天風呂は芹川に面したソラマメ型の浴槽で、屋根や低い柵や目隠し替わりの御簾のようなもので囲われているが、入浴した目線からちょうど川を眺めることもできて気持ちの良い場所だ。
 ここはごく適温できしつきがある。
 ただ、露天風呂に入っていたら雨の音が聞こえ始めた。

 肌寒いと思ったら、雨の朝になってしまった。
 何だか昨日と同じ様な天気なのかな。晴れてほしいんだけど・・・。
 露天風呂の縁に腕をもたれさせて頭を乗せる。
 朝の贅沢な時間がゆっくり流れている。


川沿いの露天風呂


 ところで御前湯の脱衣所には貼紙があった。
 内容は「長湯温泉には泡が付く源泉とつかない源泉があり、うちのはつかないけど効能は豊かだ」的なもの。
 たぶん「泡がつかねぇ~」的なクレームを入れる人が多いんじゃないかと思ったが、ここはここで良い温泉だ。
 受付のおやじさんは感じがいいし、何よりのんびりできる。
 でもまあ雨も上がったみたいだし、また降り出さないうちに天風庵に戻るか。





3-4欧州パン工房ブーランジェリー・ケイ・ワイズへ続く


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