子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★☆ 泉質★★★★☆ 温度は適温。
- 設備★★★★★ 雰囲気★★★★☆ 脱衣所に広い畳敷きベンチあり、休憩室あり
子連れ家族のための温泉ポイント
長湯と言うとラムネ温泉館の話ばかり聞いていたので、御前湯というところがどういう施設なのかよく判っていなかった。
最初は昨夜の天満湯や長生湯みたいな共同浴場をイメージしていたのだが、万象の湯のリーフレットに「現代版湯治場再生」として、芹川下流に温泉療養文化館「御前湯」、中流に高濃度炭酸泉「ラムネ温泉館」、上流に温泉伝承館「万象の湯」と並べて紹介されていたので、それを見て、ああ、小奇麗な日帰り温泉だったのかと知った。
ラムネ温泉館ほど近くは無いが、御前湯も泊ったガニ湯本舗天風庵から徒歩圏だった。
天満湯正面の橋を渡って大丸旅館と川端屋の間の道を直進、三叉路を右に進み少し歩くと川沿いにドイツ風?の建物が見えてきた。
温泉というより、わりと道の駅なんかにありそうな雰囲気の建物。
いや、その建物のてっぺんはさっきから旅館の建物の屋根の上に見えていた。近づくまでそれが御前湯だと判らなかっただけ。
それを見て最初に感じたのは、なんで御前湯といういかにも和風の名前なのに建築が欧風なんだ?ということ。
思えば昨日のラムネ温泉館といい長生湯といい、どことなくヨーロッパっぽい。
実は現在の建物こそドイツ風で新しいが、元々御前湯は江戸時代の藩主の湯屋であった。
さらに昭和10年の段階で既にドイツ風の外観の共同浴場に建て替えられていた。
というわけで、長湯温泉はドイツと国際交流を深めていて、館内には世界最古の温泉療養地を名乗っているドイツ バートナウハイムの浴室セットなども展示されている。
ちなみに外観はこんだけドイツ風なのに、大広間休憩室は何故か和風。
テラス風の入り口前には飲泉所があり、たらたらと流れるお湯がその成分で周辺を赤茶色に染めている。
中に入ると受付にいたおじさんがゆっくりしてってと親切に声を掛けてきた。
昨日訪れた同じく長湯の日帰り温泉である万象の湯やラムネ温泉館と比べて館内が広く感じる。
なんというかいい意味で無駄な空間が多くそれがゆったりとしている。
朝なのでまだ他のお客さんがいないことも広さを感じる理由かもしれない。でもこの施設は朝6時から営業しているのだ。
本当に観光客向けの日帰り温泉と言うより地元向けの共同浴場みたいな時間設定だ。
ちょっと残念なのは男女で源泉が違うこと。
別に施設が残念系なんじゃなくて、自分にとって残念だってこと。二日に渡って入浴しないと両方には入れない。
1階と3階に浴室があって、今日は1階が女湯。
浴室もやっぱりドイツ風だった。バーデなんちゃらって名前がついていても不思議ではない感じ。
石の床に半円形の浴槽が二つ。プールに入るような金属の手すりがついている。
洗い場の壁もカーブしていて、全体的に角の少ない設計だ。
お湯は黄緑色の濁りが強く、底が見えない。
内湯のひとつが冷鉱泉で、冷鉱泉も濁りがあるが温かい方よりそれは薄い。
この冷鉱泉は3階にも引かれているので、1階単独、2階単独、共通冷鉱泉と全部で三種類の源泉があるようだ。
内湯の浴槽は深めで二段になっている。最初気付かなくて足を踏み外しそうになった。
浴槽の内側はやっぱり析出物のごてごてがついていて、背中を当てると痛い。
お湯の表面にはなにやら油膜のようなものが見える。
天井が高く、窓の面積も広いので、他に誰もいないこの浴室にいると、お金持ちになったような贅沢感があった。
露天風呂もある。
露天風呂は芹川に面したソラマメ型の浴槽で、屋根や低い柵や目隠し替わりの御簾のようなもので囲われているが、入浴した目線からちょうど川を眺めることもできて気持ちの良い場所だ。
ここはごく適温できしつきがある。
ただ、露天風呂に入っていたら雨の音が聞こえ始めた。
肌寒いと思ったら、雨の朝になってしまった。
何だか昨日と同じ様な天気なのかな。晴れてほしいんだけど・・・。
露天風呂の縁に腕をもたれさせて頭を乗せる。
朝の贅沢な時間がゆっくり流れている。
ところで御前湯の脱衣所には貼紙があった。
内容は「長湯温泉には泡が付く源泉とつかない源泉があり、うちのはつかないけど効能は豊かだ」的なもの。
たぶん「泡がつかねぇ~」的なクレームを入れる人が多いんじゃないかと思ったが、ここはここで良い温泉だ。
受付のおやじさんは感じがいいし、何よりのんびりできる。
でもまあ雨も上がったみたいだし、また降り出さないうちに天風庵に戻るか。