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◆◇九州温泉巡り旅行記◇◆
阿蘇-長湯温泉-黒川温泉

11.赤川荘の温泉






 妙に洋風だったのは外観の色や入り口だけで、脱衣所も浴室もごく普通の温泉宿のものだ。
 浴室は少し薄暗く、手前と奥にそれぞれ一つずつ岩で囲まれた浴槽がある。
 手前が非加熱、奥が加熱。両方とも青白くとてもきれいな濁り湯。特に湯口が非現実的なほど真っ黄色に染まっている。
 お湯と岩の境目のところも白っぽい粉が付いたように色が付いていて縁取りみたいになっている。

 そんなわけで見た目は手前も奥も同じように見えるが、手前は水のように冷たく、奥は加熱してちょうど良い温度だった。

 奥に一人若い女性が入っていたし、私が来てすぐにもう一人の入浴客が浴室に入ってきたが、誰も手前の非加熱浴槽に近寄ろうともしない。
 二人とも奥の加熱浴槽に入ったまま動かない。

 私は非加熱浴槽に手を入れてみたが、やはりあまりにも冷たすぎてそのまま入るのは無理だと思った。

 シャワーで流してから加熱浴槽に入り、少し温まってきたところでようやく非加熱浴槽にチャレンジすることに。
 すっごいマッチのような火薬のにおいが強い。きしつく。

 腰まで入ってまた加熱で温まってを繰り返し、何度目かにやっと首までつかる。
 ひんやりとアイスクリームに入っているみたい。
 冷たいゆでたまごみたいなにおいに包まれている自分。

 味は硫黄に炭酸入れました的な、味わったことのない奇妙な味。
 口の中はじゅわじゅわするがはっきり言って不味い。


とても綺麗な色をしたお湯だ。


 奥の加熱浴槽のさらに奥に露天風呂に出るドアが付いている。
 いったん外に出てみたが、猛烈な雨に閉口する。
 露天風呂は結構大きくて、三つか四つに仕切られていて、一番奥の方に大きな滝があるのも見える。
 たぶんすごく景色が良くて開放感のある露天風呂なんだろう。といってもこのお風呂の表面にもばしゃばしゃと雨が跳ね返って次々波紋を広げているような日では・・・。
 そもそもこれだけ雨が降っていたら温泉のお湯も薄まりまくりだよ。

 自分は露天風呂に入るのは断念したが、先に入っていた女性は途中で意を決したようにタオルを頭に巻いて露天風呂に出て行った。勇気あるな。
 後から聞いたらパパも露天風呂に入ってみたそうだが、すごくぬるかったそうだ。


土砂降りなんですが


 湯上りは肌から硫化水素のにおいが立ち上るかのよう。
 朝、地獄温泉のすずめの湯で染みついたにおいが内牧温泉で洗い流され、赤川温泉赤川荘で再びっていう感じ。

 とにかく加熱浴槽がすぐ隣にあるのは良かった。あれが無かったらとても非加熱には入れなかった。
 それもまだ夏だから何とか入れたので、冬になると非加熱は凍りそうに冷たいらしい。くわばらくわばら。





2-12初めてのコイン式温泉へ続く


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