子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★☆ 泉質★★★★☆ 冷たい浴槽もあるがそちらは冷たすぎかもしれない
- 設備★★★★☆ 雰囲気★★★★☆ ベビーベッドは無いが代わりに使える大きなベンチあり
子連れ家族のための温泉ポイント
私たちが走っているのは旧小国海道こと国道442号線で、並行して久住高原ロードパークという有料道路が伸びている。
たぶん景色が良いから有料なんだと思うが、土砂降りのこの雨の中ではお金を払う意味は無い。
赤川温泉赤川荘は地図で見るとその久住高原ロードパークの脇にあるように見える。
どうやってアクセスするんだろうと思ったらT字路が見えてきた。どうもここを左に曲がって久住高原ロードパークを越えたところに赤川荘はあるようだ。
温泉施設には一般に人気のある温泉、特にコアな温泉ファンに人気のある温泉、マニアックすぎてほとんど知られていない温泉などいろいろあって、もちろん最初の二つが重複しているところもあるのだが、この赤川温泉赤川荘というところ、コアな温泉ファンには特によく知られているところのようだ。
ゆで卵の臭いがして白濁した温泉と言えば火山性で熱いというのが一般的な印象だ。
むしろ熱すぎるあまり気体になっているのを水を通して造成泉として使っている方が珍しくない。
しかしこの赤川温泉は冷たいらしいのだ。
安易に何でもかんでも加熱せず、冷たいままの源泉槽があり、そこがいいんだと言われるが、一方冷たいのが苦手な私にはハードルが高いんじゃないかなんて事前に聞いていた。
そう、私は冷たい温泉が苦手。
体温より気持ちぬるいくらいまでならいいけど、それより温度が下がると辛い。
水風呂とかだいたい足先だけ入れては逃げ出す。
夏だけど入れるかなぁ、どうかなぁとちょっと及び腰。
駐車場は登山道の駐車場を兼ねていた。
宿まではここから数分歩かなくてはならないと看板がある。宿泊者は宿の前まで車で行ってもよいようだが、私たちは日帰り客なので。
車を降りるどころか車のドアを開けるのも躊躇するような激しい雨。
足元は舗装されているが車一台がやっと通れる細い道。対向車とすれ違うのは無理だ。
ザーザーと音を立てて降る雨が、コンクリートに跳ね返って足元をぬらす。
それほど遠くは無かったが、雨が激しいので道のりは長く感じた。
見えてきた建物は、山の中の一軒宿としてイメージしていたものとはかなり雰囲気が異なり、サーモンピンクの外壁とレンガ積みの入り口とイタリア国旗のカラーにOPENと書かれたウェルカムボードに、一瞬の宮沢賢治の注文の多い料理店に入るような気がした。
でも中は特別洋風なわけではなく、帳場周りは普通に山の中の一軒宿だった。女将さんは親切そうだった。
妙に洋風だったのは外観の色や入り口だけで、脱衣所も浴室もごく普通の温泉宿のものだ。
浴室は少し薄暗く、手前と奥にそれぞれ一つずつ岩で囲まれた浴槽がある。
手前が非加熱、奥が加熱。両方とも青白くとてもきれいな濁り湯。特に湯口が非現実的なほど真っ黄色に染まっている。
お湯と岩の境目のところも白っぽい粉が付いたように色が付いていて縁取りみたいになっている。
そんなわけで見た目は手前も奥も同じように見えるが、手前は水のように冷たく、奥は加熱してちょうど良い温度だった。
奥に一人若い女性が入っていたし、私が来てすぐにもう一人の入浴客が浴室に入ってきたが、誰も手前の非加熱浴槽に近寄ろうともしない。
二人とも奥の加熱浴槽に入ったまま動かない。
私は非加熱浴槽に手を入れてみたが、やはりあまりにも冷たすぎてそのまま入るのは無理だと思った。
シャワーで流してから加熱浴槽に入り、少し温まってきたところでようやく非加熱浴槽にチャレンジすることに。
すっごいマッチのような火薬のにおいが強い。きしつく。
腰まで入ってまた加熱で温まってを繰り返し、何度目かにやっと首までつかる。
ひんやりとアイスクリームに入っているみたい。
冷たいゆでたまごみたいなにおいに包まれている自分。
味は硫黄に炭酸入れました的な、味わったことのない奇妙な味。
口の中はじゅわじゅわするがはっきり言って不味い。
奥の加熱浴槽のさらに奥に露天風呂に出るドアが付いている。
いったん外に出てみたが、猛烈な雨に閉口する。
露天風呂は結構大きくて、三つか四つに仕切られていて、一番奥の方に大きな滝があるのも見える。
たぶんすごく景色が良くて開放感のある露天風呂なんだろう。といってもこのお風呂の表面にもばしゃばしゃと雨が跳ね返って次々波紋を広げているような日では・・・。
そもそもこれだけ雨が降っていたら温泉のお湯も薄まりまくり。
とにかく加熱浴槽がすぐ隣にあるのは良かった。あれが無かったらとても非加熱には入れなかった。
それもまだ夏だから何とか入れたので、冬になると非加熱は凍りそうに冷たいらしい。くわばらくわばら。
湯上りは肌から硫化水素のにおいが立ち上るかのよう。