ポスターがいくつも壁に貼られたぎしぎしと鳴りそうな階段を昇って、2階へ。
磨かれた廊下が真っ直ぐに伸びていて両側に並ぶ襖はみな閉じている。
私たちの部屋は一番手前だった。
湯治場としての機能性からか一部の部屋は隣の部屋とを隔てる襖を全部開放すると一つなぎの大広間になる。
といっても大グループでもなければ普段はそれぞれ区切って宿泊者が使う。
廊下とも隣室ともなんとも心もとない紙製の襖で囲われているだけの部屋なので、人によっては抵抗があると思う。
私たちは山形の
滑川温泉とか好きなので全然気にならない。貴重品の管理だけ気を使えばいいと思っている。
ちなみに本館二階のこの廊下の両側には9室ほど部屋があったが、この日、外にスリッパが出ていたのは私たちの部屋と、ほぼ対角線上にある部屋の二部屋だけだった。