◆◇桜の古都巡り◇◆
京都観光旅行記
椿地蔵と不断桜でゆっくりしたので三千院に着いたときは既に拝観開始時間の8時半を10分以上過ぎていた。
重厚な石段の入口には梶井三千院門跡と刻まれた石碑がある。
そう、ここは初日の一番最初に訪ねた仁和寺と同様、門跡すなわち皇族が代々住職として深くかかわってきた寺社になる。
入口の御殿門には見事な桜が張り出していたが、まだ蕾は固い。咲くまであと少し。
社務所では先に来た一人旅らしい女性が拝観料を払っていたが、他にひと気は無い。
境内に入ると直ぐに受付の建物があり、履き物を脱いでここに上がるが残念ながら中は撮影禁止だ。
中はそれほど大きくないように見え、古く少し立派だがそんなに有名な寺院には思えないと感じた。やたらと三千院をPRするポスターが貼ってあるのもそう思わせたのかもしれない。
しかしそれは思い違いであることを先へ進むと理解した。
廊下のように客殿、写経場である円融房、宸殿に繋がる屋根つきの通路が伸びていて、途中で二本の角を生やした黒い鬼のようなアバラが浮き出た何者かが笑みを浮かべているお札が飾られたところもあった。
このお札、見たことがあるような。魔よけに鬼を飾っているのかと思っていたが、実はれっきとした高僧で、厄除け大師として民間に信仰されている角大師であった。
角大師は元三大師、またの名を良源という平安時代の僧で、天台宗比叡山延暦寺の第18代天台座主であった。疫病を払うため自ら鬼の姿となり厄災除けのお札を刷らせたと言う。恐ろしい姿をしているのもそのため。
でも見れば見るほど怖い姿。笑顔のところがまた怖い。毒を以て毒を制すじゃないけど、怖い姿で魔を払うっていうのは理にかなっていると思うけど、でもやっぱりこのお札が戸口に貼ってあったらちょっとドキッとする。
中は撮影禁止だったので、代わりに三千院前の呂川の景色をどうぞ