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◆◇桜の古都巡り◇◆
京都観光旅行記

31.迷って石塀小路







 本日最後の目的地は石塀小路。
 ここは子供たちの塾の先生がもし京都に行くならぜひ行ってみてと教えてくれたところだ。
 「夜の11時頃、歩いたんだけどね、とても雰囲気がね、京都らしいというか、ぜひ見てみてほしい」
 中学生の女の子を連れて夜の11時までふらふらはしないよと思ったけれど、既に9時半。ゆっくりしているとすぐに10時にはなってしまう。
 それはともあれ石塀小路とはどこにある何なのか、まずその辺がよく判っていなかった。
 出発前に何冊か読んだガイドブックの一冊には、雰囲気の良い石塀小路を歩くのもいい的な記述があったが、それがどこかも明記されていなかったし。

 google mapで調べると、高台寺周辺に五か所ぐらいピンが立つが、それは各店の名前の一部だと思われる。
 ただ、それが集まっている通りがたぶん石塀小路と呼ばれているエリアなんじゃないかと推測できる。
 とにかくマップで見てもわかるようなわからないような感じだったが、それと思われる方向へ歩いてみた。
 ちなみに地図を読んでくれるのは三人の中で最も方向感覚に優れた長女のカナだ。





 この辺かなと歩いたところで石塀小路の入口を見つけた。
 それは建物と建物の間の狭い通りで、人が三人ぐらい横に並んで通れる位かな、車はもちろん入れない。
 足元は石畳で頭上には石塀小路と書かれたレトロな和風ランプが灯っている。
 ランプを潜って通りに入ると、道の両側は木窓の枠の細い縦のストライプから灯りの漏れる古い町屋造りの料亭や旅館で、三味線の音でも漏れ聞こえてきそうだ。
 道はまっすぐではなく、途中で折れたりジグザグになっていたりする。だから塀が高いこともあって見通しが悪く、迷路のようだ。
 迷路といっても分かれ道があるわけではないので、歩いていけばそのまま出口に出るが、その短い通りを歩いている間は違う時間の流れの中にいるような不思議な感覚が味わえる。
 塾の先生がお勧めしたように、夜のほのかな灯りの下に歩くのがまたいいのかもしれない。
 ちょっと何というか、祇園や石塀小路は決して日の当たる文化ではなくむしろほの暗い部分だと思うのだが、それがまた夜の情緒というものを醸し出しているのかもしれない。
 なお、清水寺参道の産寧坂辺りから、この石塀小路までは国の選定した重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。
 後世に残したい貴重な風景なのだ。





 ここから頑張って東大路通りまで出れば市バスの東山安井停留所だ。
 あと少しなのだが、レナがギブアップ。もう疲れた、眠い、歩けないというのをカナと二人でおだてたりなだめたり引っ張ったりしながら何とかバス停まで歩かせた。
 広い通りの目の前を行き来する車のライトを見ていると、さっきまで歩いていた石塀小路の空気が幻のように感じる。
 少し待ってバスが来た。
 乗り換えなしで四条大宮まで。

 もう正直さっきのことがあったので、市バスには良い感情を持てなかったのだが、バスを降りるときにおじさんの運転手が一人一人に丁寧に「ありがとうございました」と声を掛けてくれた。
 嬉しかった。

 ありがとう。

3-1大原か嵐山か貴船・鞍馬かへ続く


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