1.大原か嵐山か貴船・鞍馬か
朝の天気予報は笑った。
西日本では大阪、淡路島、京都の大阪に近い辺りだけが晴れ、周囲は全部曇り、さらにその周囲、山口、四国の大半、東は愛知より先は雨予報。
しかしそれも午前中のことで、昼過ぎからはほぼ全域が雨。
四日間の京都旅行の旅程のうち、今日の雨空だけは覚悟しなくてはならないようだ。
とにかく行動するなら午前中。
できるだけ雨が降る前に回りたい。
今日の昼間は大原へ行くつもりだった。
計画は前倒しで進めるために、大原行きのバスはできるだけ早い便に乗ろう。
朝ごはんは和菓子だった。
笑わないで。
昨日甘春堂の和菓子作り体験で作ったお菓子を食べる。本当は当日中が消費期限だから翌日食べるのは自己責任だが、昨日は全部食べる暇が無かった。今日の朝食をコンビニで買ってくる暇さえ無かった。
そして出発は急ぐ。
雨が降り出す前に大原に行って、帰ってきてしまいたいから。
勝負は午前中。
京都旅行の計画を立てる場合、碁盤の目で区切られた市内中心部の神社仏閣を回るのが一般的だが、三日以上の旅程があるなら、ちょっと遠出をするプランニングも多いと思う。
その際選ばれるのは、嵐山、大原、貴船・鞍馬のいずれかではないだろうか。
私は嵐山は東福寺と並んで結構何度も訪れている。
理由はどちらも電車で行かれるので。
仕事の帰りに嵐山に出て、夜の新幹線で帰ることが多かった。
一度まだまだ余裕があると思って駅に行ったら、たまたま鉄道がストライキをしていて間引き運転で焦ったことがある。
結局ぎりぎりで新幹線には間に合ったが、今は鉄道ストライキなんて聞かないから、まあ昔の話だ。
そんなわけで嵐山を外すと、大原と貴船・鞍馬から選ぶことになる。
両方とも同じくらいの興味があったのだが、以前実家の親が「大原行ったけど良かったよ」と言っていたのをなんとなく思い出したのと、貴船・鞍馬は夏のイメージが強かったので、強い理由があったわけではないが大原を選んだ。