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◆◇桜の古都巡り◇◆
京都観光旅行記

25.不愉快な出来事






 予定がすっかり狂ってしまったので、夕ご飯も7時には食べ終わってしまうという早さ。
 そもそも今日の夜は平安神宮のライトアップを見に行く予定だったものが白紙に戻ってしまったので何も無い。

 そこで、夜は翌日の予定を前倒しに持ってくることを考えてみた。

 明日は大原まで遠出してみるつもりだった。
 その代わり昼間は大原以外の観光は入れず、夕方早めの時間に祇園・清水方面に繰り出し、そのままそこで夕食も取り、暗くなってからはライトアップしているところを回ろうと考えていた。
 あの辺りはライトアップしている観光名所が集中しているのだ。
 清水寺、ねねの道、円山公園、花見小路・・・などなど。

 しかし、今日の天気が一日晴れだったのに対し、実は明日の天気は雨なのだ。
 旅行出発前から雨だという予報が出ていて、一時はかなり降るという話だったが、今日の段階では午前中は曇り、昼ごろから降り出すかもしれないという予報に変わっている。

 だからこんな風に考えてみた。
 明日のライトアップの予定、一部だけでも今夜回ってしまわないかと。
 今夜の予定は無くなったし、少なくとも今日は雨が降ってない。


四条大宮の交差点にある嵐電の駅。なんとなく撮ってみた。



 部屋で一休みして荷物を軽くして夜7時半頃出発。
 昨日に比べるとあまり歩き回ってはいないから体力は残っている。昨夜は天翔の湯も二条城のライトアップもスルーして寝てしまったレナも今日は一緒に出掛けると言う。

 もう外は真っ暗。
 四条大宮から祇園方面へ行くバスは何系統も出ている。
 しかし、バス停に近づくとちょうど乗ろうと思っていたバスが発車してしまった。
 何だかさっきの銀閣寺からの帰りを思い出す。
 またか。


大きなバス停はあと何分でどこ行きのバスが来るかわかるようになっている。



 少し待つと系統は違うがやはり祇園方面へ向かう市バスがやってきた。今度こそこれに乗りたい。
 ところがひとつ前のバスがなかなか発車できずつかえているからか、祇園方面のバスはその後ろにくっついたまま、降車ドアを開けて四条大宮で降りる客を降ろし始めた。乗車用のドアは閉まったままだ。

 私は焦った。
 理由は銀閣寺前の帰りに、方面は気にせずバス停の列の後ろに並んで先へ進むのを待っていたら、並んでいる客は違うバスに乗りたかったのか列は進まず、バスは客が乗り終わったものと判断して出発してしまったのを見たからだ。
 ただ黙って正しいバス停に並んでいるだけでは、おいて行かれてしまうこともあるということを学んだからだ。
 そしてそのせいもあって1時間もバス停でイライラしながら待つという目にあってしまった。
 さっき一台目の前で逃しているし、これでまた乗れるはずのバスに乗れなかったらいい加減うんざりしてしまう。

 そこで私はバスの運転手に手を挙げてアピールした。
 このバスに乗りたい客がいるということをわかってもらおうと。

 しかしメガネをかけた若そうな運転手は無視した。バックミラーに映るように大きく手を振ったのにこちらを見ない。
 何か用があるのだろうとドアを開けて聞いてくれるだろうと思った目論見は外れた。
 降車する客がみんな降り終えた、降車用ドアが閉まってしまう。
 私は益々焦った。バスは完全に停まっていたので歩道からドアをコンコンとノックした。
 それでも運転手は振り返りもしない。

 そのあとバスは無言のまま少し前進し、バス停ジャストの位置に停まるとようやくおむもろに乗車用の入口を開けた。

 で、私たちは釈然としないまま乗って席に座ったが、思わず唖然としたのは発車してから「バスのドアを叩かないよう願います」と運転手がしれっと放送したことだ。
 えっ?

 メガネの市バス運転手の感じの悪い行動はまだ続いた。

 次のバス停で乗り降りのお客さんがいる中、息を切らせながら乗ってきた最後のお客さんが乗り終える前にドアを閉めたのだ。
 当然そのお客さんは半分体を挟まれた。
 バスの運転手の車内放送は「駆け込み乗車はおやめください」で謝罪は無し。
 どう見ても乗ってくるのが判ったろうに。

 さらにもう少し先で、バス停目前の信号でバスが停まっている時に、このバスに乗ろうとした黒人のお客さんが車道に降りて降車ドアに近づいた。
 「ここで乗らないで」
 黒人さんが日本語がわかる人だったか判らないが、この時、なぁんだ車外に向けてもマイク使えるんじゃないと思った。
 なんで私の時にその外に向けたマイク使わなかったんだい。





 バスを降りるときには一日乗車券の場合は裏の日付を提示して降りるのだが、私たちの先頭にいたカナが乗車券を提示しても運転手は前を向いたままガン無視。見せなきゃ降りれないと思っている彼女は何度かそのカードをぐっと突き出して見せたが運転手は絶対にそちらを見ようとしない。意地を張っているようにずっと正面を向いたままだ。
 「もういいよ」
 彼女に乗車券をしまわせ、私もレナも機械的に乗車券を提示して黙って降りた。
 本当に今日はバスにツイてない。

2-26にぎやかな夜の清水坂へ続く


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