◆◇桜の古都巡り◇◆
京都観光旅行記
三番目は「練り切り」。
オーソドックスな和菓子、五枚の花弁を持つ桜そのものの形で、つまり一番デザインもオーソドックスという気がする。
ピンク色の丸い餡をつぶして中央に凹みを作り、凹んだところに小さめの白い餡を乗せてなじませる。
この工程は先ほどのういろに似ているが、ういろの生地と違いこちらは弾力がなく、また透明感も無い為、生地を破らずかつ裏から見て綺麗なグラデーションを作るのはなかなか難しい。失敗するとグラデーションの無い全面単色のピンクのお菓子になってしまう。
カラーリングができたら形を整え、三角柱のへらで桜の花びらを作っていく。角の所を使って五つに分け、さらに五つに分けた花びらの一つ一つに切れ込みを入れる。
全体の形ができたら目の細かいふるいのようなものに乗った短い錦糸卵のようなものが回されるので、それを適量箸でつまんで中央に置く。花粉のついたおしべになるようだ。
なんでふるいに乗っているのか考えてああそうかと思う。黄色の餡をふるいからところてんのように出してこのおしべは作っているのか。
練り切りに使った生地。このピンクの餡に白い餡を乗せてグラデーションになるように馴染ませる。
ういろと違って弾力性が無いので結構難しい。
最後は「きんとん」。
きんとんは金団(きんとん)。有名なのはおせち料理に欠かせない栗きんとんだが、これとは違う。
また岐阜の方にも栗きんとんという茶巾絞りの和菓子があるが、これとも違う。
ちなみに京都では岐阜の栗きんとんのような和菓子はそのまんま「茶巾」と呼ぶ。
京都で言うきんとんは、そぼろ状の餡を使った生菓子で、核にした餡の周りに専用のこし器で裏ごしした飾り餡をつけたものを言う。
だからまず登場したのは藤製のふるいのようなこし器。それを見て、さっきの練り切りのおしべを大きくしたようなものを作ればいいんだなと合点がいく。
こし器に二色の餡を乗せ、掌の手首に近い部分を使って斜めに一気にぐっと押す。
すると下にグラデーションになったそぼろ餡が落ちてくる。これを箸を使って綺麗に核の餡玉にくっつけていく。最後にこれも桜の花びらパーツを乗せて完成だ。
完成です。左が試食用「きざと」と「きんとん」(と抹茶)、右が持ち帰り用「ういろ」と「練り切り」
一つ一つ完成していくごとにデコレーションの難易度が上がる体験の構成も素晴らしいと思う。
四つも作らせてくれると思っていなかったこともあって非常に満足した。
ただ、出来上がってみるとつくづく和菓子の材料って餡と餅粉が多いんだなと思わされる。
体験作業の後は試食タイム。
お抹茶が配られ、一番芸術性の高いきんとんと最初に作ったきざとを食べる。
残りのういろと練り切りは紙箱に入れてお持ち帰り。今日中に食べて下さいねと念を押された。