脱衣所に戻って一休み。
入り口近くにある張り紙に目が止まった。
「草津の湯の花について」
そこに書かれていたのは、前にもどこかでちょっと聞いたことはあったが、まだ詳しいことは知らなかった草津湯畑の湯の花のことだった。
草津のシンボル湯畑は、目の前でふつふつと源泉が湧きだしてそれが何本も並んだ木の樋を伝って最後は湯滝からざんざんと落ちる。
樋には効能あらたかな湯の花がどんどん溜まるので、2ヶ月に一度ほどの割合で採取する。
これは戦前は薬品で毒消しの丸薬にも調合されていたが、どうやら厚生省に薬品としての届け出をしなかったため、現在は薬品扱いされていない(別府の湯の花は届け出を行ったため現在も薬として認可されている)。
薬品として認められていないため、偽物の草津の湯の花が横行しても取り締まりの対象にはならない。
取り締まりの対象にならないのを良いことに、明らかなまがいものが「草津温泉 天然湯の花」として土産物屋や大型旅館などでまことしやかに販売されているというもの。
見分け方も書いてあった。
本物は三角形の透明プラスチックケースに入っており、販売元が「群馬県草津町」(つまり業者じゃなくて町が売っている)。
偽物は販売元が「○○物産」だのというもの。
しかもその中身たるや、もちろん湯畑で採取した本物の湯の花などではなく、原油を精製したときに出るかすに、石灰などを加えて作った粗悪品だということ。呆れた話だ。
張り紙は、困ったことに小綺麗な土産物屋や旅館にもこれらを売っているところがあり、それだけで売っている店の格が知れると結んであった。
【これまたタイムリーなことに、このことを旅行記に書いているまさにその日、草津湯畑の偽湯の花はニュースにすっぱ抜かれました → 参考1 Yahooニュース<湯の花>実はただの硫黄…草津温泉で販売4社に排除命令(日数経過によりリンク先が削除されたのに伴いリンクは外しました) 参考2
公正取引委員会
平成18年12月14日付け文書 草津温泉地区における入浴剤販売業者4社に対する排除命令について(PDFファイル)】