9.その2 関の湯
目立たない裏通りから抜けると、道が二手に分かれる。左手の狭い方の道を行けば次の共同浴場に着くはずだ。
右手にあったあった、共同浴場は
凪の湯みたいにどこも目立たない裏道にあるのかと思ったら、ここは道沿いにあった。
関の湯。
カップルが入り口で写真を撮っていて、女性の方は私に続いて中に入ってきた。
脱衣所がこれまた狭い。さっきの凪の湯より狭いかもしれない。
そして浴室との境のドアは開け放たれていて地元のおばあちゃんが二人、長々と話し込んでいた。一人はお風呂の中で、もう一人は脱衣所の床にぺたりと座っている。脱衣所も浴室も1~2人サイズなので、もうそれでいっぱいぐらいだ。
「失礼します」と声を掛けて使わせてもらった。私とおばあちゃんともう一人入ってきた彼女とで脱衣所はもうぎゅうぎゅうだ。
私たちと入れ違いに中にいたおばあちゃんが脱衣所に移動した。また二人で脱衣所の床に座って延々と話をしている。ここって社交場なんだなぁ。
お風呂は変形長四角で、凪の湯が熱かったからどんなに熱いかと覚悟したらまったくぬるかった。拍子抜け。草津は熱い湯ばかりではないらしい。
ここは湯畑源泉。わずかに緑がかった濁りがあり、酸味とともに渋みも強い。肌当たりはマイルドで、立ち上がったときにゆで卵臭が香る。
男湯との境にある磨りガラスを一部赤く塗ってあってちょっと不気味。