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草津温泉 雨の共同浴場巡り 1-14


14.その6 地蔵の湯

 今度こそこれで終わりにしようと思っていた。時間ももう5時を回って制限時間まで一時間を切っている。
 スタンプラリーでもやっているみたいだな。
 でも・・・煮川まで来たらどうせ帰り道に一本下の道を通れば地蔵の湯なんじゃないの?
 昨日はカナの小学校の運動会で、PTA役員の仕事もあって足が棒のようになってしまった。元々疲れていたところへ朝から既に5つも入っている。体力的にも限界だから、地蔵の湯は入らず見学だけしていこうかな。

 煮川で一番下っていたため、いきなり急坂を登る羽目になる。息が切れる。もう駄目。こんなんではとても山の上のナウリゾートホテル迄なんて歩いて戻れない。タクシーとすれ違った。パパがタクシーで戻っても良いって言ってたな。空車とすれ違ったらそこで共同浴場巡りを終了させよう。そうしよう。
 ところがすれ違うタクシーは「送迎」ばかりなり。とほほと歩いているうちに地蔵の湯が見えてきた。

 ここもマップに堂々と載っているだけあって少し大きめの作りのようだ。
 登り道から来て正面に入り口が無く、裏手に回ったら男女別の入り口があった。
 見学だけのつもりだったけど・・・次にいつ来られるかだって判らないし、目の前まで来たら入るしかないでしょ。
 結局入ってしまうのだった。

 少し薄暗くなる時間帯だからか、浴室には煌々と灯りがついていて他の共同浴場と比較して明るい感じがする。
 入浴客は多いものの、同じ地図に載っている中でも白旗の湯や千代の湯に比べてほとんどが地元の人という感じだ。
 タイル張りの浴槽には淡いミルキーホワイトのお湯がたたえられ、色で言ったら一番綺麗かもしれないと思った。
 臭いは薄い硫黄臭にアルミの臭いがプラスされた感じ。温度はごく適温。味も酸っぱさとともにアルミらしい金属をなめたような感覚が舌に残る。
 入ったとたんにぷつぷつと全身に鳥肌がたった。何かこう、体が異物感を感じているような感じだ。ぴりぴりと軽い刺激がある。でも決して不快ではない。
 あがるとさっと鳥肌は収まった。
 入るときには「失礼します」と入らせてもらったが、ここのお客さんたちはみんな「こんにちは」と、とても明るかったのが印象的だった。


ラストスパート地蔵の湯
地元の人たちでいっぱい、とても明るい感じの共同浴場でした
刺激性とマイルド性を併せ持つ不思議なお湯です



 さて、後はもう戻るのみ。
 とはいえ泊まっているリゾートマンションから果てしなく離れてしまった。どうやって戻りゃいいんだ?
 地蔵の湯から中央通り方面へ戻る道が伸びているはずだから、とにかく湯畑まで戻ろう。実は地蔵の湯のところで道が二手に分かれている。どっちだろう。
 元来た方の道をそのまま進む方がメインだろうと思ったが、急に道が細くなる。地蔵の湯の隣に小さな湯畑があり、その隣は祠だ。このお地蔵さんが地蔵の湯の由来で、この湯畑は地蔵の源泉なのだろう。
 細い道は見るからに迷いそうで躊躇したが、よく見ると工事中の看板が。
 ということは、ここを真っ直ぐ行くとさっきの湯畑前の工事中の道に出るに違いない。じゃ、やっぱりこっちが近道だ。

 自転車がやっと通れるぐらいの細い道をどんどん歩く。
 すっかり辺りは暗くなってきて、裏通りは心細いこと極まりない。
 雨も相変わらず激しく降っている。ジーパンの裾がびしょびしょで気持ち悪い。
 やっぱりあの道だった。
 すぐに湯畑前に出た。湯畑は既にライトアップを始めている。
 だいぶ遅くなっちゃったな。それにお腹が空いた。さっきの1/4饅頭は既に消化してしまって、エネルギー値がゼロぎりぎり。
 とてもこれから坂道を登ってナウリゾートホテルまでなんて戻れないよ。


隣に地蔵源泉と、お地蔵様がいらっしゃいます

夜なのであまり綺麗に撮影できませんでした 




1-15.再び温泉饅頭へ続く


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