*05*
カナが建設現場をやりたがったのには理由がある。 建設現場の仕事は、クレーン2名、空調パイプ2名、壁パネル貼り6名の計10名なのだが、人気はクレーン、パイプの順で、いつもクレーンを希望しながら二人ともパネル貼りしかしたことがない。 今日、他に誰もいない状態で体験できれば、念願のクレーンができるかも、そう思ったのだ。 「何ができますか?」 「クレーンでもパイプでもどちらでも選べますよ」 やったー。 しかし、二人がユニフォームを着て準備が整ったところであと二人ほど男の子がやってきたので、残念ながら無条件でクレーンが選べるということにはならなかった。 しかし今日はこのパターンが多いね。 ジューススタンドもデパートも二人でスタートする直前にあと二人滑りこんでくる。 スーパーバイザーは仕事内容を一通り説明した後、希望を募った。 まずパイプについて聞いたところ、一番小さい男の子が手を挙げた。 カナとレナともう一人の男の子はクレーン希望だ。 前回、クレーンになれる可能性が低いということが分かった時点で半強制的にレナを誘って離脱したカナが、また同じようなことを考え出したのが、私には見て取れた。 |
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カナがどう思おうと、レナがクレーンを強く希望していることは判っている。 私は二人にもう一度、自分が本当にやりたいと思うものに志願しなさいと小声で行った。 結局・・・カナは自分からクレーンを降りてパイプに移った。 レナは当初の希望通りクレーンをやることになった。 「だってパイプもやったことないから」 うん、それはOK。 レナに強制さえしなければ自分で好きな方をどうぞ。 と、そこでスーパーバイザーが新たな提案をした。 「今日は時間があるので終わったら交代して両方の仕事ができますよ」 一見それは素晴らしいアイデアのように思えるが、残念ながらあと40分・・・いやもうあと35分ほどで本日の第一目的、声優が閉め切られてしまう。 私がどうしようと思ったとき、男の子のお母さんが「急ぐのでそれは辞退したい」と願い出た。 「じゃあ残る三人で交代に・・・」 「いやあのう、実はうちも急ぐので・・・」 申し訳ない。うちも延長は辞退させてもらった。 そして二人に、これが終わったら速攻で楽屋前に行けと目くばせした。 |
クレーンは2階に運ぶパネルをまずは籠に入れる |
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最初は男の子がクレーン操作を行った。 レナは2階で旗を振りながら「アップ」とか「レフト」とか英語で指示を出す役目。 |
次に交代してレナがクレーンを操作した。 最初はクレーンをあげて荷物を2階に運び、それから今度は1階に下げる。 |
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一方、こちらはカナの空調パイプ。 まずホワイトボードにマグネットのパイプを貼って設計図を作る。 青いパイプは直線でサイズが何種類かある。 赤いパイプはカーブしていてみんな同じサイズ。 これらを自由に組み合わせて、始点から終点まで結ぶ。 但し、直線と直線、カーブとカーブを直接つなぐことはできない。 本当の工事は逆かもしれないが、この場合、ひとつでも多くのパイプを使って図を設計する方が難易度が高く良いとされているようだ。 一回目は単純な図を組んだが、二回目は少し複雑な図を組んでいた。 カナは小さい男の子の面倒を見ながらできるだけ彼の自主性を重んじて作業を進めた。 完成したら実際に空気を流して見る。 送風口に立って、ちゃんと空気が出てきたことを確認して仕事はおしまい。 |
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建設現場前からは、少し離れた楽屋方面を見ることができる。 私は二人が仕事中もちらちらと様子をうかがっていた。 すると、6時40分か45分ぐらいかな。 大きめの子供たちがグループで楽屋前にどっとやってくるのが見えた。 しまったー。 やはり時間を読み誤ったか。 声優の定員は13名で他の仕事と比べると多い方だが、とにかくある程度以上の人数がいっぺんに並ぶと、心理的に近くにいた子供がどっと殺到することが考えられる。 これはやばいぞ。 定員割れの日も多く、今日は特に空いているとは思ったが、期間限定ものの人気は本当に日によって違うので事前に測れないのだ。 ・・・後はせめて2名枠がぎりぎりまで残っていることを祈るのみ。 |
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しかし願いもむなしく、7時前に楽屋前に行ってみたときには、もうそこは無人だった。 既にマダガスカル2の定員は全て揃い、募集終了時間まで10分以上あっても早めに練習の仕事に入ってしまったということだ。 7時2分に予定通り建設現場の仕事を終えて大急ぎでカナとレナは出てきたが、私は腕でバツのしるしを作って見せて、「ごめん、ママの時間の読みが甘かったみたい。今日の声優はもう締め切られちゃった」と伝えることになった。 |
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キッザニア東京体験レポ 冬の平日がらがらキッザニア6へ続く
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