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◆◇鹿児島温泉巡り旅◇◆

16.指宿 村之湯(むらんゆ)温泉







 そして指宿で最初に入った温泉はここ、村乃湯
 指宿に数多くある共同浴場の中でも老舗。明治15年の創業。

 到着した村乃湯はどう見ても民家の軒先。
 しかもすぐ隣にも東郷温泉とかいう看板を掲げた別の共同浴場がある。
 それを見るだけで流石は指宿温泉。お湯いっぱい湧いてるのかな。共同浴場や温泉銭湯が生活に密着してるんだろうな、そんなことを思う。





 例によってパパは入らないと言うので私一人で突入。
 しかしまたまた受付が無人。しょうがないので料金を置いて勝手に入浴させてもらうことにする。

  料金所兼民家とおぼしき建物は真新しくて綺麗だが、隣のみどりの屋根の温泉棟は少し古そう。
 入浴料は250円だけど、来月1月からは300円に値上げすると書かれている。

 男湯とか女湯とか書かれたドアは老舗共同浴場には思えない殺風景さ。暖簾ひとつ掛かっていない。
 しかし中は非常に趣がある。昔から大事に使い込まれた感がある。
 浴室は縦に細長く、そこにやはり長方形の浴槽が二つ並んでいる。
 正確には長方形ではなく長方形の四隅を落とした八角形。
 奥の浴槽のお湯は少しぬるく、手前の浴槽のお湯はかなり熱い。






 臭いはほんのりあるような無いような。
 お湯の色は透明だけど少し濁りがある。というか、古びた浴室は薄暗く、いまいちよく色が見えないんだが。
 源泉は湯中から静かに注入されていて、湯の花は細かい白い粉のようなものが浮いているほか、中からも少し浮き上がってくる。

 入った途端にきりきりちりちりと塩分を肌に感じるが、しばらくすると落ち着いて包み込むような浴感に変わってくる。
 この浴室は天井の木組みなどは比較的新しく見えるが、とにかく浴室の下半分、特に浴槽と、壁に貼られた注意書きのポスターなどが古びている。
 お洒落なレトロ感は通り越して、昭和初期の庶民のにおいがする。もちろんこういう雰囲気は嫌いじゃない。
 浴室には地元の人しかおらず、男湯からは訛りのきいた大きなだみ声が聞こえてきて、女湯の女衆はみんなクスクス笑っていた。





 湯上りはとても温まるのに爽やかさがある。
 肌は少しかさつくかも。でも体が軽く感じられる。スッスッと手足が持ち上がる感じ。疲れが取れたというか、中から若返るような。
 だけどお湯より佇まいよりこの温泉で一番印象に残ったのは、額に入って大事に壁に飾られた西郷隆盛と島津斉彬の写真だったりして。
 これを見た時に、さすがは鹿児島と唸ってしまった。






2-17こらんの湯錦江楼にチェックインへ続く


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