榛名湖日記ファイナル1-11

11.写真

　夕ご飯の後は子供たちのいつものショー。
　ちょうど幼稚園でも毎日お遊戯会の練習をしているらしく、今回はいつものダンスよりちょっとミュージカル風。

　カナのクラスはお遊戯会でジャックと豆の木のミュージカルをやる。彼女の役はジャックの母。ヒロインや女神様、ヒロインのお友達といった華やかな役と違って随分地味な役なんだなあと思っていたところ、衣装合わせの時に通して見てびっくりした。出番の多い目立つ役で、一人で踊る場面もある。
　カナはわりとなりきるタイプなので、演じている時も楽しそうだ。

　対するレナはディズニーのリトルマーメイドの曲、アンダーザシーを踊る。年少組なので、女の子全員で同じ振り付けで踊るのだが、こちらは全然踊ろうとしない。衣装合わせでも予行演習でもつったったきり。
　振りを覚えていないのではなく、恥ずかしくて照れているうちに曲が終わってしまうらしいのだ。お友達はみんな踊っているのに、違う意味で目立っちゃって困る。

　夜、ドアのベルがなったのでパパが出てみると、管理人の奥さんだった。
　年末にここに泊まった時に、建物の前で撮った写真を現像して持ってきてくださったのだ。私たちの日記もひととおり目を通してくださったという。

　できあがった写真は、家族四人心から楽しそうに笑っていて、その日すら既に過去になってしまった事実に、見つめているうちに涙がにじんできた。