雪見露天風呂紀行【榛名湖日記8】5-3

3.尻焼で雪見露天風呂

　露天風呂は川に張り出すように作られている。
　狭い傾いだ木の階段を下りると、コンクリで四角く区切られたお風呂が二つ見えてきた。ここなら長笹川がとてもよく見えそうだ。
　先に入ったパパがあちちと言う。
　手前の浴槽はかなり熱いらしい。
　子供たちを一人ずつ脱がせていたら、当然のように一番びりになってしまった。いいなぁ、みんな気持ち良さそうにとっとと入っててさ。

　奥の浴槽は少し温かった。子供たちはそちらに入れる。浴槽はどちらも浅め。いまどきあまり見ないアルマイト製の洗面器がいい味を出している。
　川の中からお湯が自噴している長笹川は、川原の石もみんな赤茶色に色づいている。その染まった石の上にもほっこりと雪が積もっている。
　川沿いの雪見露天風呂。今日こんなお風呂を探していたよ。

　お湯は無色透明でさっぱりしている。慣れてくると熱い浴槽でもあまり熱さを感じない。外気温が低いからこの熱さが気持ちいい。

　あっ、鳥だ。
　川原に波紋が広がったので何かと思ったら、黒い小さな鳥が顔を出した。小鳥が水に潜っていたのだ。ちょんちょんと岩の上を跳ねてくるのを見てカナは大騒ぎ。彼女は今、野鳥にとても興味があるのだ。
　黒い小鳥が飛び去った後には、顔と背中が黒っぽくお腹が白い小鳥も遊びに来た。
　鳥さんを見ながら入るお風呂なんていいよね。

　すっかり温まったカナと大人が上がっても、このお風呂がとても気に入ったのかレナだけはいつまでもいつまでも上がらない。
　もう行くよ。
　まだ入ってる～。
　そんなに気に入ったの？(笑)。

　ここには「源泉　尻焼温泉サンプル」と書かれた飲泉所？もある。
　ごくごく微かな硫黄の臭い。あとは沢水みたいな臭い。味もあっさりした尻焼温泉だ。