2.四万温泉へ向かう道
榛名山を下りきると雪はほとんど無くなった。
ほんのちょっとの距離で天候が違うのだろう。
昨日通った中之条町の原町を過ぎて、四万方面へ曲がる。
四万温泉へ通じるこの道は四万街道。途中、四万湖がエメラルドグリーンの水をたたえている。
意外にも四万もほとんど雪は無い。先週末にどっと降った雪が残っているだけのようだ。ただ、町を抜けてからいつの間にか空は灰色になってきた。四万温泉ではどうも太陽は望めないようだった。
子供たちは「今日は何処へ行くの?」と聞く。
また温泉だって言うと、嫌だって言われちゃうかな。
「しまに行くの」
「島?」
「そうそう」
とりあえずそう言ってごまかしておいた。
四万周辺には、小さい子供が喜びそうなスポットは確かに無い。
温泉街の入り口で道は二手に分かれる。右は旅館が立ち並ぶ通りで、左はバイパスになる。
「どっちへ行くの?」と聞かれて地図をにらむ。
四万温泉にはいくつも共同浴場があるが、まだ
四万清流の湯しか入ったことがない。今日狙っているのは四万川沿いに無料混浴露天風呂があるという
山口共同浴場(山口露天風呂)だった。
えーと、どうやって行けばいいのだろう。簡易な地図では、温泉街の川向こうだから…一番近い道はバイパス寄りの細い道だ。右手の道を行き、月見橋を渡って左折すれば判るだろうか。
しかし細い道は凍りついた登り道で、とても川沿いに降りられるような場所ではなくそのままバイパスにぶつかり山口駐車場に着いてしまった。
いつの間にか雪が降り始めている。途方にくれてしまった。たぶん温泉街の方から専用の橋を渡ってアクセスするしかないに違いない。
仕方が無いので車の中から四万温泉協会0279-64-2321に電話して聞いてみた。
すると山口駐車場に車を置いて、月見橋を渡って右折、床屋の前の細い道を入ると橋があると親切に教えてもらえた。
「但し、混浴しかないですよ」
「はい、大丈夫です。どうもありがとうございました」