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榛名湖日記アンコール4-2


2.管理人さんのおうち

 最後に湖を一回り。
 湖岸で糸を垂れる釣り人。
 霞のかかった春の空にそびえる榛名富士。
 みんなみんなさようなら。
 四日間のお天気をありがとう。明日からはまた雨と天気予報が言っていた。
 来る日に道の端に残っていた春の雪も、既にほとんど消えている。

 下る途中で管理人さんの携帯に電話を入れたが、あいにく途中で電波が切れてしまった。下り終えてからもう一度かけることにしよう。
 空はいつの間にか春らしい薄雲が広がっている。今日も暖かくなりそうだ。


最後に榛名湖を一周。
のどかな春の日。

そして花咲く道を下る…


 アンテナが安定してから再度電話をかけた。今度はちゃんと繋がる。前回、地図もかいてもらったが、迷わず辿り着けるだろうか。

「こんにちは」
 ベルを鳴らす。
 奥さんが出ていらした。
「お言葉に甘えて遊びに来てしまいました」
「どうぞどうぞ」

 榛名湖の宿の各部屋には、あるときから所感ノートが置かれていた。最初からでは無かったですよね、と伺うと、終わりが決まってから置き始めたのだと教えてくださった。
 私たちが泊まる部屋はいつも二階の真ん中か、三階の真ん中だったので、他の部屋のノートにどんなことが書かれているのか知らなかった。今回それらを見せていただくことが出来た。

 ノートに書かれているのは泊まった人たちの感想、管理人さんと過ごした写真、絵手紙、年賀状など。その全てに管理人さんたちの返信が書き込まれている。書いた人たちの多くはその返信を読むことができないのではないかと思うが、それでもひとつひとつに丁寧に返事が書いてある。
 もっと早くにノートを置けば、もっと沢山の書き込みがあっただろうにね、と管理人の奥さん。これらはお二人の最後に残された成果、宝物なのだ。カナとレナの描いた湖の絵も貼ってあった。

 その中にガラメキ温泉に行ったという書き込みもあった。このノートはここ一年くらいの記録だから、今でもガラメキ温泉は入れるということになる。もちろん子連れで行かれるような場所ではないから、私たちが行けるとは思えないけれど、もう今は入れないのかと思っていた。そう言うと、管理人さんは「いや、時々行くけど今も入れますよ」と教えてくれた。

 話し込んでいるうちに、奥さんは巻き寿司を作ってくださった。
 途中でこれを食べなさいと、包んでくださった。
 榛名湖の宿が無くなっても、これからはここに泊まればいいとも言って下さった。
 申し訳なくてそんなことは頼めないけれど、また群馬に来ることがあればきっと寄らせていただきます。

 最後に湖の見えるおうちでいつもしているショーを、カナとレナに管理人さんのおうちでやってもらい、お暇することにした。
 ありがとうございました。
 また、遊びに来ます。


カナとレナは管理人さんのおうちでもショーをした。

恥ずかしがりやのレナも照れながら踊った。




4-3.鳥居をくぐって赤城山へへ続く


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