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榛名湖日記アンコール4-1


1.最後のドアが閉まるとき…

最終日 2004年3月29日(月)


 風の凪いだ静かな朝だった。
 対岸の山は、鏡のように澄み渡った湖面に逆さに映っていた。
 今朝はみんなで鳥を見に行こうと、7時過ぎには準備をして双眼鏡を手に表へ出たが、声が聞こえるばかりでついに姿を見つけることは出来なかった。

 湖のみえる宿の周辺は、ちょうど釣り客相手の施設や食事処で賑わう岸辺とは反対側にあり、静かで落ち着いた雰囲気だ。
 たぶん俗っぽく賑やかな対岸にこの宿があったら、これほどは気に入らなかったに違いない。
 ここの隠れ家的なプライベートな感じが気に入っているのだ。
 もうたぶん、私たちは榛名湖に泊まることはないだろう。
 他の宿もキャンプ場もあるけれど、どこに泊まってもこの湖の見える宿と比べてしまうから。
 本当は夏に一度来てみたかった。
 思えば見慣れた榛名山も、緑に生い茂っているところはほとんど見ていない。
 8月には湖上に花火も上がる。どんなにか綺麗だろう。


今朝はみんなで鳥を探しに行った。
声は聞こえるのに見つけることはできなかった。

朝は風も凪ぎ、鏡のような湖面だった。


左はバケツの表面に凍っていた円形の氷


 朝ごはんを食べて、荷物のパッキング。
 四日間、あっという間だったね、とパパ。何故だか先月の三日間より短く感じると言う。
 初日が半日だったのもあるけれど、管理人さんの不在が特にそう感じさせるのかもしれない。
 カナは昨日、レナは今朝、管理人さんに会いたい、管理人さんのところに行かないの?と聞いてきた。
 安心して。これから管理人さんのおうちに行くよ。帰る前にね。

 こんなに快適なセカンドホームは無かった。出る前に部屋のあちこちを写真に撮る。金属製の重いドアがゆっくり閉まるのを見て、何もかも終わってしまった気がした。
 今度こそ本当にさようなら、湖の見えるおうち。


リビング
  いつもみんなで夕ごはんや朝ごはんを食べた場所

キッチンとカウンター
  よくあのカウンターでカナとレナが並んで遊んでいた

リビングから窓を眺めて
  ここからの景色、決して見飽きなかった 

リビングと和室
  何度ここでカナとレナのディナーショーを見せてもらったことだろう




4-2.管理人さんのおうちへ続く


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