◆◇夏休み函館紀行◇◆
母娘函館観光旅行記
とにかく寒かった。
カナはけろりとしているが、私とレナはがたがたと震えていた。
気温も低いが風が強いので体感温度がとても低く感じる。
北海道だし山の上だしあるていど寒いのは覚悟して衣類を持参したつもりだが、それでも甘かった。
空は徐々に赤みを消して、オレンジ色だった街並みもゆっくりと紫色に変わってきた。
明るいうちに五稜郭タワーとか、函館聖ヨハネ教会だとか探してみる。
6時40分を過ぎるとぽつりぽつりとまずは道路沿いの街灯、それから建物のあちこちに灯りがともり始めた。
いつに間にか函館山の屋上展望スペースは押し合いへし合いの大混雑になっていた。
空はますます暗くなってきた。大沼の駒ヶ岳方面にわずかに夕暮れの赤みが残っているぐらい。
反比例するように地上はますます賑やかになってきた。
灯りがどんどん増えてにじむように光る。
帰りのバスの時間があるから日没を迎えたらできるだけ早く山を下りようと考えていたのだが、実際にその時になってみると日没と同時に真っ暗になるわけではないのだった。
既に背後の山頂の後ろに落ちた太陽の光は雲に反射し残照となってほのかに地表を照らしているのか、7時を回ってもまだそこはかとなく明るい。
夜景がパーフェクトな状態になるには日没後30分くらい経ないといけないと初めて気づいた。
ただし、最前列に立って夕陽から楽しめたという点では昇ってきたタイミングに誤りは無かったらしい。
しかもあまりの寒さからデジカメの電池消費が異常に早まり、まだ撮れると思っていたのに電池切れマークが点滅する始末。
手はかじかんでいうことをきかないし、歯の根も合わなくなってきている。
結局7時20分頃、下りのロープウェイに乗り込んだ。
この時刻、まだ多くの観光客は震えながらも夜景を見ていた。
おかげでロープウェイは混雑することもなくすぐに乗れた。