Engadin page 1

想像していたスイスというのは、白い山々をバックに緑の原に点在する三角屋根のシャレー
この町は違った
まるで空気の色から違った


ポントレジーナの街角から空を見上げて  見上げると、空が狭い。ここはどこの街角だ?
 バスも通るメインストリートというのに、この狭さと有機的なカーブ。
 家々の壁に描かれた幾何学的な紋様も、街灯やアーチ型のエントランスも、自分の狭い知識の中で想像していたスイスのイメージとは違っていた。

 日の沈む前、ふと思い立って駅前のホテルを出、小さな町の中心地へ向かった。急坂の向こうは知らない夕暮れ。朝方、バスで隣町へ行ったときも通ったはずなのに。
 どうして人っ子一人いないのだろう。
カーブの向こうに待っているのは・・
空はまだ明るいのに夜の影が街を塗り替えていく
 くねくねと別世界へ迷い込みそうな、それは、逢魔が刻のポントレジーナ

続いて、シルスマリアをご紹介します

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