ダイビングクルーズ 4
翌朝は日の出前、スタッフの『Wake up』の声の前に目が覚めた。
せっかくだからビデオとカメラを持って甲板に出ると丁度水平線が明るくなってきた。
多少雲はかかっていたがゆっくり太陽が昇るのを撮影する。
息子は昨夜作ったおにぎりを食べるので、私一人で朝食を取りに行く。
今日は午前中に3本潜り、昼食後ナイトまで休憩となる。
午前中に3本も一気に潜るなんて体力的に自信がないが、疲れたらキャンセルすればいいし、出来るだけ潜ろうと決める。
食後すぐにブリーフィング、1本目は《クラムガーデン》名前の通り大きなシャコ貝がいっぱいあった。
それにあのブヨブヨのところ(また名前が分からないので)の色は青、緑、茶色とかいろいろありビックリした。
2本目の《スティーブンボミー》は、スティーブンという人が死んだ場所とかで海底にプレートがあった。
ここはゆっくり水深をあげながらボミーの周りをあげてくれば迷うことはないらしいのでYさんについて海底のプレートまで行き、後は二人でゆっくりダイビングを楽しむ。
ボミーの天井辺りにいろんな種類のクマノミがいた。
『一ハマ、二クマ、三カクレ』と体の線の本数でクマノミの見分けるのだそうだが、ここにはカクレ《ニモ》はいない。
でもクマノミはオレンジ色というイメージがあったが、初めてレモン色のクマノミも見た。
朝から2本潜り疲れてきたので3本目を息子と二人でキャンセルしようかどうしようかと相談していると、Yさんが『次の《テンプル・オブ・ドーム》はこのクルーズの中で唯一《ニモ》が見えますよ。』と言う。
言われた瞬間息子と顔を見合わせ、『潜ろう!!』とあっさり決まる。
ここも迷うようなところではないと言うので二人でバディダイブにした。
分かりやすいポイントではほとんどコンパスを見ることなく潜れるからうれしい!(本当はこれではダメだけどね)
潜る前にYさんにニモの場所を聞いたら『天辺にいるからすぐ分かるよ』 と言われたので最後に天井辺りを一所懸命探したが、ちっとも見つからない。
二人ともエアーの残量も減ってきて少々焦ってきた。
そのとき船のカメラマンのJ氏が大きなビデオとデジカメを持って来た。
手振りでニモはどこかと聞くと着いてこいと合図するので付いていったらいたいた《ニモ》本当はクラウンアネモネフィッシュって言うんだけどね。
J氏は私たちが撮影しやすいようにイソギンチャクを手で分けて何度も《ニモ》を出してくれた。
『いいのかな??』
息子も何か気にしている顔をしている。
撮影して、船に戻ると早速『ねえ、あんなことしていいの?』 と聞く息子。
『うーん可哀想だけどあの人は私たちのために気をつかってくれたんだし・・・文句は言えないよねェ』
『俺は普通に撮れれば良かったんだけど・・・』
『そう思うんなら自分では絶対そういうことはしないことだね』
『ウン』
まあ一つ成長したのかな?
ダイビング前にアルコールは禁止と分かっていたが、これからナイトまで5時間ほど間が空くのでそれぐらいあれば十分アルコールは抜けると思い、Yさんに『缶ビール1本だけ飲んでいい?』と聞くと『ダメ!! 飲んだら潜らせないよ!』と言われた。
少しアルコールが入った方が昼寝がしやすいんだけど仕方がないか。(でも飲んでいる人もいた)
食事を済ませベッドで横になっても中々眠れない。
2時間ほどしてやっと寝かかった時に『かあさん!イルカだよ!!』
こういう言葉に対する反応はいい私。
飛び起きてカメラとビデオを持って甲板へ。
『イルカだ!イルカだ!』 と喜び撮影してから又眠ろうとするがどうしても眠れない。
サロンに行くと息子が『起こそうか寝かせておこうか悩んだんだけど、かあさんはああいうの好きでしょう?』
そう確かに好きだが、ナイトを潜るためにも睡眠も必要だった。おまけに朝方より波が出てきたような気がする・・・
『どうしよう??』
この日はおやつにスコーンがあった。
美味しかったけどやはりバリン湖の方が美味しかったなと思い、そのスコーンを食べながら『どうしよう?』と悩み続けた・・・
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