** ケアンズと森とビーチの休日 **
タリーとタリー渓谷を結ぶこの道はずっと電信柱が立っている。
行きはこんな田舎道に何でだろうと思っていたが、今は判っている。道の終点に、おそらくはkoombooloombaダム湖を利用した水力発電の発電所があったからあそこの電気を運んでいるのだ。
タリーの町外れにも配電所のような施設があった。それを通していろいろな地域に運ばれていくのかもしれない。
渓谷北のレーベンスホーにも風力発電用の風車が並んでいた。
タリー渓谷周辺というのはド田舎でありながら、実は自然を利用したなかなかの電力エネルギー生産地帯であるのかもしれない。
バナナ畑を抜けるとき、またまたカメラの電源を入れっぱなしにしてみたが、朝ではないからかもう何も出てこなかった。
その代わり、正面から大きなトラクターがやってくる。そのタイヤと来たら私たちの乗っている車の背丈ほどある。
思わずカメラを構えたら、運転手のおっちゃん、それに気づいて嬉しそうに手を振ってくれた。
あははー、陽気だね。
帰り道の放牧地帯でまたまたあの白い鳥を見た。
「あそこあそこ!! 牛がいるところ。それも何だか岩の上にいっぱいとまっている」
早めに言ってくれれば車を停めるからとパパが言っていたので早速停めてもらった。
少し行きすぎたが走って戻る。
うっそー、鳥なんか見えないよって言っているパパに証拠写真を見せなくては。
まばらにユーカリの生える草原地帯の柵の中に十数頭の牛と馬がいた。
鳥がとまっている岩は私がいる場所から少し離れていた。
早くしないといなくなっちゃうかも。
息を切らして走っていると、鳥が飛び立った。
ああっ、待って待って。
とりあえず飛び立ちかけたところを撮影する。
翼の大きな白い鳥で飛んでいる姿は白鳥みたいな形をしている。
まだ何羽か残っている。もっと近づいて・・・
ああっ、また飛び立った。もう無理かも。
いやまて、まだ一羽だけ岩の上に残っている。
ああもう、車が遠いところに停まっちゃったものだから鳥まで遠い~。早く早く岩から飛び立っちゃう前にズームの届くところまで走らなくちゃ。
・・・
待て。
あれは岩じゃない。
えーっ、うそ。あれは岩じゃなくて牛だよ。牛が寝そべっている。その背中に鳥がとまっている。
てことは、さっきのあの鳥たちはみんな岩じゃなくて牛の背中にとまっていたの?
おっかしーい。
牛も背中に大きな鳥が乗っていても気にしないのかな。
私がシャッターを切り終わると最後に残っていた一羽も飛び立った。
牛と鳥が仲良しなんて面白い。
証拠写真が撮れて良かった。
鳥がとまっていたのはなんと岩の上じゃなくて牛の背中だった。
この鳥の名はアマサギ。
英名・・・Cattle Egret(牛のサギ)・・・って、そのまんまじゃん。