子どもたちはこの旅行に来るに当たって、小学校を休んだ。そのときたまたま日直や授業のグループ分けで、カナと組むことになっていたMちゃんという子がいた。カナの友達だ。
カナがお休みしてしまうとMちゃんは日直もグループ発表も一人でやらなくてはならない。申し訳ないのでMちゃんにお土産を買っていくと約束した。
「何がいいかな?」とカナが聞くと、Mちゃんは日本で手に入らないものと答えた。
そして私たちは相談して、さっきカナとレナがビジターセンターで買った手作りペンダントにしようと決めたところだった。
ミッションビーチ・ビジターセンターに着くとパパは「行ってきて」と私だけを送り出した。
私は例の首が折れたカソワリーの像の横を通って午前中にも来たビジターセンターの建物に入った。
ペンダントなどのお土産が置いてあるのは中央のコーナーだ。
カナには、レナと色違いのピンクのお花のペンダントがいいんじゃないかと頼まれていた。
ピンクの花のペンダントはすぐに見つかった。
見ると花のペンダントに混じってワライカワセミのものがある。確かレナはカナと同じ鳥のペンダントがほしいほしいと言っていなかったっけ。
とりあえず花のペンダントだけ買って車に戻り、パパに相談してみた。
パパは言った。
「ワライカワセミのペンダントがあるなら買ってあげれば? レナは姉ちゃんのロリキートのペンダントが凄く羨ましかったみたいだよ。今レナが持っている白い花のペンダントはママが使えば?」
ああなるほど。そういう手もあるか。
不審な人物に見られそうだなと自分で思いながらも私はまた今日三度目になるビジターセンターのドアを開けた。
ところで手に取ってみてみると、ワライカワセミはペンダントではなく後ろに粘着テープの着いた飾りだった。
それらの手作りアクセサリーはペンダント型になっているものと、粘着テープ型になっていいるものと二種類あったので。
そうはいっても何となく諦めきれず、係員に聞いてみた。
「鳥のペンダントはありませんか?」
係りの人はあちこち引き出しを開けたりして探してくれたが、残念ながらもうペンダントは見つからなかった。