ビクトン・ヒルのコースはまともに歩けば4キロ2時間だが、さっき
ミッションビーチのビジターセンターで入手したこのコースのウォーキングトラック・ガイドによると、駐車場からスタートして山道を登り、655mのところで二手に分かれるようになっている。
二手に分かれるというか、要するにその先のコースはラウンドになっていてぐるりと回って元のジャンクションに帰ってくる。右回りでも左回りでもOKだ。
ジャンクションに行く途中にひとつルックアウトがあり、ジャンクションから右回りに回るとまた少し行ったところにルックアウトがある。
だからこの二つのルックアウトを見た後、ラウンドせずにもと来た道を下れば、1時間程度で戻ってこられるのではないかと踏んだのだ。
「いいよ、でも・・・」パパは言った。「子どもたちも誘おう」
別に良いけど、きっと行かないって言うよ。
「何かそのウォーキングトラックに子どもたちが興味を惹くようなものは無い?」
・・・まあ無駄だと思うけどと前置いて、私はウォーキングトラックガイドを開いた。
「これで?」
ウォーキングトラックガイドにはカソワリーなどのイラストが描かれていた。
「ねえねえ君たち、歩きに行かない?」
「いや~だよ」
ええい、憎たらしい。
「歩きに行くとこんな鳥や動物が見られるよ・・・」
見られない可能性の方が高いけど、とは言わない。
「どれー?」
ウォーキングトラックガイドをひったくるように取ってカナが言う。
「これ何? これ」
右下に描かれていたレースモニターだ。
「レースモニターだよ」
「レース? レースってカーレースのレース?」
「違います。ひらひらの洋服についているレース。レースの模様の大トカゲ」
それだけ聞いてもやっぱり子どもたちの返事は「行かない」だった。
だろうと思っていた。