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** ケアンズと森とビーチの休日 **

25.帰り道の夕空




 




 カードウェルからタリーまでの道は何度も何度も踏切を横切る。
 さとうきびを運ぶ季節列車のための線路で、左右の畑の荷を積めるよう蛇行しながら続いているらしい。
 今は刈り取りの季節ではないけど、シーズンにはさとうきびをどっさり積んだ貨物列車がごとごと動いているんだろうか。
 太陽はすっかり傾き、まもなく地平線に沈みそうだ。
 夕方の白い月がだんだん明るさを増してくる。
 道沿いのユーカリが夕日を浴びて赤く染まった。
 今日もとてもいい天気だった。
 今回のケアンズ旅行は本当に天候に恵まれている。










 夕食は今日買ってきたエビを焼いた。
 食事中、子どもたちが気になるものと言えば天井に住み着いている奴ら。
 一匹は部屋の隅のブラインドの上に、もう一匹は先日蝶が逃げられなくなっていた天井近くの窓の下に隠れ家を持っている。
 こいつらは薄暗くなるとこっそりと住処を離れ天井を這い始め、小さな虫を捕食してまわる。
 動くときは目にもとまらない早さで走るのに、動かないときは石のよう。
 恐ろしく臆病で、カメラで撮影しようとしても、オートフォーカスのセンサーである赤い光が出ると、それを恐れてすぐに逃げてしまうためにいつもシャッターチャンスを逃している。
 にも関わらず鳴き声だけは大きいのだ。
 「ケッケッケッケッケッ」と甲高い声で鳴く。
 「臆病で虫だけを追いかけているゲッコーが、何であんなにでかい声で鳴くんだろう」という私に、
 「腹一杯だー、満腹だーという勝利の歌なんじゃない?」とパパ。
 いくらなんでもそれはあるまい。
 異性でも呼んでいるんだろうか。不思議だなぁ。
 とにかく子どもたちはこのちょろちょろするヤモリがいたく気に入ったようで、出たと聞くと追いかけ回し、鳴き声が聞こえたというと部屋で遊んでいても飛び出してきて探し回る。
 夜にはたまたまゲッコーの捕食シーンも見てしまった。
 止まっているときはじっとして動かず、隙を見て目にもとまらない速さで虫に近づきぱくっと食べてしまう。あっと言う間の出来事だった。

ウォンガリンガに戻ってきた。誰かベンチのところで涼んでいる。


シャッタースピードを遅くしてパパが撮影。正面は太陽ではなく満月


突然何の脈絡もなくカスタードアップル


天井のゲッコー


七日目へ続く・・・のだ





7-1サンドフライの恐怖へ続く


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