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8.巨大魚スライの餌付け




 




 桟橋からリゾートのスタッフが近づいてきた。
 どうやら今ここで降りるのはヒンチンブルックアイランド・ワイルダーネスロッジ宿泊者だけのようだ。
 オージーと東洋人のカップルが一組降りた。東洋人は髪の長い女性で、日本人ではなさそうだ。
 たまたまなのかもしれないけど、現地ツアーでは年輩者を含めて奥さんが東洋人、旦那さんがオージーというカップルをよく見かけるような気がする。逆パターンにはまだ会ったことがない。
 人間の他に、ロッジで使用する食糧や備品も降ろしていた。やたらとNERADAティーの箱が目に付いた。ダンク島行きフェリーでも思ったが、こうした船は日帰り観光客だけでなく、リゾートの宿泊者やリゾートの食糧を運び、帰りには廃棄物も運ぶ役目を持っている。一日観光ツアーのお客さんが少なくても、こうした需要があるから運営が成り立っているんだろう。

 誰かが桟橋の方で呼んで、みんな桟橋に集まっている。
 私たちも行ってみよう。

ヒンチンブルック島のリゾート宿泊者だけがここで降りる



 桟橋脇の海の中をみんなで指さしてわいわい言っている。
 何か来ているらしい。
 ゆらりと茶色のものが動いた。
 フェリーのスタッフが餌を取りだして水面に近づけた。

 バッシャーーーン

 巨大なナマズのような魚がそれに飛びついた。
 お世辞にも美しいとは言えないまだらの顔、離れた目、分厚いくちびる。
 「今のは何?」
 「スライだよ」とスタッフ。
 「ああ」とパパ。ヒンチンブルック島一日ツアーのリーフレットに「Sly」の餌付けとあったけど、あれがスライか。
 レナに今の魚、どれくらい大きかった? と聞くと、こーんなに、と両手を広げてくれた。




レナ、スライはどのくらい大きかった?





6-9ジュゴン・ウォッチングへ続く


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