Reidロードは海岸と並行に走る通りだ。
左手の木立のまにまに青い海。
ウォンガリンガが見えてきた。
私たちの隠れ家が。
到着時間は5時15分前。
結構ぎりぎりだった。
インノットからの道は遠かった。途中で冷や冷やすることもあったことだし。
カナもレナも後部座席で寝ていたのでパパが一人でチェックインに行った。
この辺は後からパパから聞いた話なのだが、オフィスに行くとまだ5時前にも関わらず閉まっていたそうだ。
そしてドアの所に封筒が一枚貼り付けられていた。
封筒の宛先はパパの名前。差出人はウォンガリンガのロラリー。そして中には手紙と鍵。
あなたの部屋は9号室だからこの鍵で入ってねと書かれていて、9号室までの案内図が書かれている。
案内図も手書き。判りやすいように海やプールの位置までちゃんと書き込まれていた。
適当なんだか几帳面なんだか。
でもパパがその手紙をしげしげと眺めているうちに、別の部屋で仕事をしていたロラリーがこちらに気づいて駆け寄ってきておしまい。
危うく抱きつかれるところだったよ、とはパパの談(ホントか?)。
そんなわけでチェックイン手続きを済ませたパパがロラリーと通りに停めたままの車の所に戻ってきた。
「ハロー、お久しぶり」
相変わらずちょっとドスの利いた低い声だ。でもセンテンスごとにはっきりと区切って発音してくれるので彼女の英語は理解しやすい。
ロラリーは金髪をショートカットにした骨っぽい美人。背が高くて細身。カナよりふたつ年上の娘がいる。
颯爽とミニスカートをはきこなしているが、足下は裸足。
ケアンズ辺りでは裸足は珍しくない。、ビーチや芝生なら気持ちいいかもしれないけど、一昨年ファームステイしたときは農場の子どもたちは泥の中でも客人のベッドの上でもお構いなしで歩き回っていたことに驚いたし、大人でも焼けたアスファルトの上でもショッピングセンターの中でも裸足で歩き回っていて問題ないらしい。
まあシドニーではかっちりしたスーツにビーサンで出勤するらしいし、中国ではパジャマで外出する人が珍しくないらしいからこれもまた、お国柄というものか。
ロラリーは私たちを伴って9号室の階段を上った。