この道の途中に
クラウフォード・ルックアウトという場所がある。
ちょうど眼下にノースジョンストン川を見下ろすロケーションだ。
クラウフォード・ルックアウトは既に2回見ているのでもういいと思っていたが、ルックアウトの先にとても美味しい紅茶の無人販売所があるとwillieさんに教えてもらっていた。
「パパ、この辺りに黄色い箱みたいなのがあったら教えてね」
「はいはい」
私はコーヒーは飲まないが、紅茶は大好き。毎朝朝食には紅茶を飲まないと気が済まないほど紅茶好きだ。
何としてでも無人販売所を見つけてやろうと目を皿のようにして路肩を凝視し続けたが、何故かついに見つけられなかった。
途中で紅茶農場はこちらといった看板は見かけた気がする。
でもとにかくガソリンの残量に気を取られていたパパは最もエネルギー効率の良い速度を遵守してひたすら走り続けたので、速度を落とすとか、途中で停まるとか、引き返してみるとかいう選択肢は無かった。
いつの間にかぽつりぽつりと民家が見え始めた。
バナナ畑。さとうきび畑。
そしてついに右手の地平線近くに、町と海岸線が見えた。
もうまもなくイニスフェイルだ。