ごく普通の速度で楽しみながら食べていたら、パパが早くしないと間に合わないぞと言い出した。
「ウォンガリンガのチェックインは5時までだ。5時を過ぎるとオフィスが閉まってロラリーたちが帰ってしまう。途中で買い出しもしなくちゃいけないし、急いでミッションビーチに移動しないと」
えっ、もうそんな時間なの?
ミッションビーチまで何キロあるんだっけ? 慌てて時計を見る。午後1時半を回っている。
でもでも、私はまだ
インノット温泉に入ってないよ。
はるばるここまでやってきたのに、入ったのはパパだけ?
どうやって施設内の温泉に入ろうかと考えていたのに、もう全然時間が無いわけ?
そ、そんな~。
食べ終わったので食器を返しに行って、カウンター内にいたおばさんにごちそうさまと伝えようと思ったのだが、おばさんは後ろ向きになって豪快にも何かの袋を歯で噛みちぎろうとしているところだったのでやめにした。
さよなら、インノット温泉。
道のりは遠かったので二度とパパは連れてきてくれないような気がする。
心残りいっぱい。
快適じゃないかもとか、見せ物になるかもとか考えず、とにかくぼっちゃんと入ってしまえば良かったのか?
こんなに時間が足りないとは思わなかった。
ああ、もっと何かやりようもあっただろうに。
次に来るときは最初から下に水着を着てこよう。
おっと、また来る気なのか?