さて、確かにこの辺りの川の水はかなり温かい。
さらに歩くと小川に木の枝を渡した誠に原始的な橋があり、その向こうに源泉湧出所があるようだ。
タンクがあってちょろちょろとお湯が溢れている。浅いところでちょっと触ると確かに少し熱い。
タンクには金網が張ってあってWARNING HOT
WATERと書かれている。
ただ不思議なのはそのタンクよりも上流から既に川の水が青白く濁っていることだった。
この水の色は温泉成分によるものなのかよく判らない。
おまけに河原の川のそばにはところどころ水たまりのようになっている場所があって、これがまた源泉タンクから溢れるお湯以上に熱い。
どう考えてもここは河原のあちこちから温泉が湧いている。源泉湧出箇所は一ヶ所だけではないようだ。
パパはいったん車の所に戻った。
どうするつもりだろう。
私はできればあの河原で野湯入浴じゃなくて
インノット・ホットスプリングス・ビレッジ内でちゃんとした浴槽(水着着用だと思うが)に入りたい。
だって河原は景色が良いけど落ち着かないよ。道路から丸見えだしギャラリーもいっぱいいたよ。
パパはやにわに水着に着替え始めた。
「どうするの?」
「入るよ」
えっ、あそこで!?
「わ、私は・・・?」
「やめなって。俺が代わりに入ってやるから」
後でパパは「入ればって言ったのに自分で入らなかったじゃない」なんて尤もらしいことを言っていたが、とんでもない。このときの真実はこういうことだった。