** ケアンズと森とビーチの休日 **
朝食はバルコニーで食べることにした。
朝食ハンパーに付いてきた卵の残りが六個と中途半端。
「何個食べる? 目玉焼きにする? スクランブルエッグにする?」とフライパンを手にパパ。
結局三個ずつ目玉焼きとスクランブルエッグにすることにした。
お手伝いをしてと頼まれてレナはポンと飛び出すトースターをしげしげと眺めた。
爽やかな朝の光の中で朝ご飯。
ああ、この森の中のツリーハウスを後にするのが名残惜しい。
みんなでのんびりと食事をしていると、目の前の木に一羽の小鳥がとまって綺麗な声で鳴き始めた。
羽が渋い黄緑色で頬の辺りがぽっちりと鮮やかに黄色い。
「あの鳥、死んじゃった鳥と同じ種類だ」
そう言うと、カナとレナが、もしかしてあの子を探しに来たのかなと言い出した。
「兄弟か、お友達だったのかもしれない」
「きっといなくなったから心配しているんだよ」
「出ておいで、出ておいでって鳴いているんだよ」
まるで呼んでいるように喉をふるわせて鳴いている。
もうあの小鳥はいないのに・・・。
梢で鳴いていた小鳥は何かに驚いたようにぱっと飛び立った。