ケアンズぷらすケアンズぷらす > 子連れ旅行記 ケアンズと森とビーチの休日 > 4-1足音の怪

** ケアンズと森とビーチの休日 **

1.足音の怪




 




 夜中に不思議なことがあった。
 眠っているとふと目が覚めて、足音を聞いた。
 ドンドンドンドン・・・。
 階段を降りてくる音だ。ちょっと荒っぽい足音。たぶんレナだろう。二階の寝室からトイレに来たのに違いない。もしくは親のベッドに潜り込みたくなったか。
 トイレは私たちのいる一階の寝室の向かいにある。
 すぐに姿を現すと思ったらなかなかトイレのドアを開ける気配がない。
 ちょっと心配になった。階段下で怖がって身をすくめていたら可哀想だ。
 眠いけれど私は身を起こして、様子を見に行った。
 リビングの階段下には誰もいない。
 静かに天井のファンが回っているだけだ。
 階段を上って屋根裏部屋の寝室を覗いてみたが、子どもたちは二人ともベッドの上で熟睡していた。
 たぬき寝入りでもなく、たった今まで起きていた様子もなく、まさにぐっすりと。
 あの足音は誰だったんだろう。
 確かに上から下へ降りてきたと思った。

 きつねにつままれた思いでまた自分の寝室に戻った。
 まあ空耳というか、夢でも見たのかもしれない。
 ところがうとうととしていたらまたあの足音が聞こえた。
 ドンドンドンドン・・・。
 もう一度見に行こうとは思わなかった。
 でも待っていてもやはり誰も降りてこなかった。
 とても不思議な気はしたが、何故か怖くはなかった。足音の主が誰であるにせよ、悪いものではないような気がした。

 翌朝、パパに聞いてみた。
 「夜中に足音を聞いた?」
 「知らないよ」

おはよう



ケアンズ子連れ旅行記 四日目 4月29日(日)


 「朝日が昇るよ」と起こされた。
 夜中何度も目を覚ましたからまだ眠い。私の代わりに写真を撮っておいて。
 「自分で撮りなよ。昨日とは違う景色だよ。だからこうして起こしてやってるんじゃない」
 ええい、恩着せがましい。昨日無理矢理起こしたのは誰だ。

 でも確かに昨日とは違った。
 やはり空は綺麗に晴れ渡っている。
 大気の透明度が凄い。もう、彼方の空まで突き抜けるようによく見える。
 森の向こうに地平線のように雲海があった。
 バートルフレア山が雲に浮かぶように顔を出している。
 幻想的な光景だ。







4-2水のめぐみ森のめぐみへ続く


ケアンズと森とビーチの休日 目次 | ケアンズぷらすHOME