ケアンズぷらすケアンズぷらす > 子連れ旅行記 ケアンズと森とビーチの休日 > 3-34てのひらの小鳥

** ケアンズと森とビーチの休日 **

34.てのひらの小鳥




 

マランダ・ロッジ・モーテルのレストラン。
これは明るいうちに撮影したもの。



 先ほどカモノハシを見るために通過したマランダロッジのレストランで夕食を食べて帰ることにした。
 私は肉料理、パパは魚、willieさんはパスタを注文した。
 子どもたちはお腹が空いていないから食べたくないと言うので大人の分を取り分けることにした。
 パパは運転してくれるのがwillieさんであることをいいことに、ちゃっかりビールも注文している。
 私は料理が来るまで子どもたちを大人しくさせておこうと庭に連れ出す。
 マランダロッジのレストランは雰囲気が良く、他に大人だけの客も一組いたので。

 「今日は何の鳥さんを見た?」
 「えーとねぇ、ネコドリ!! ニャーニャー」
 「ニワシドリ! 呼んだら飛んできたんだよねー」
 やっぱり二人ともネコドリとニワシドリが印象深かったようだ。
 「お腹空かないの?」
 「空いてないよ」
 「ぜーんぜん」
 なのに料理が来て、一口食べさせると、もっともっととほしがって、気が付くと私の皿もパパの皿も半分以上子どもたちに食べられてしまった。
 憎まれ口を叩くけど、本当は空腹だったんじゃない。
 赤黒いビートルートの酢漬けだけは不評でいらないと言われてしまった。











 マランダからローズガムズまでは30分程度。
 もう夜なので景色は見えない。
 食事中にローズガムズの話が出て、willieさんが興味を持っているようだったので、送ってもらうついでに部屋の中を見てもらおうと思っていた。
 今はもう暗いから昼間どんな景色が見られるのかは判らないまでも、部屋の作りや設備などは判ると思う。
 到着してドアを開けた。
 「良かったら入ってみて下さいよ」
 自分の家じゃありませんが。

 willieさんはへえーと言いながらリビングに入ってきてくれた。
 暖炉を見て、これは火を付けるの結構大変なんですよねと言っている。
 「バルコニーからは森を見下ろすようになっているので上からだと鳥がよく見えるんですね」
 「そうでしょうね」
 「ちょうど目の前に一本花の咲く木があって、よくそこに小鳥が来るんですけど・・・」
 そう言ったとき、後ろから来たパパが何かを拾った。
 「・・・」
 バルコニーの片隅に落ちていたのは、手の平に乗るくらいの小さな小鳥だった。
 ぴくりとも動かない。
 「・・・コキミミミツスイですね。今日森で何度も鳴き声を聞いたミツスイの仲間です」

 窓硝子にぶつかってしまったんだ。
 私たちが出かけている間に窓硝子に激突して死んじゃったんだ。
 朝もキッチンの窓にぶつかってしまった鳥がいたけれど、この小鳥も、たぶん硝子があるとは知らず、真っ直ぐ森から飛んできて・・・。

 可哀想に。

 手の平の小鳥は傷一つ無く目も開いたままで、まるで今にも飛び立ちそうに見えた。
 もう動かないことが私には信じられなかった。



  【willieさんのガイドに興味を持った方は、ケアンズEye!からお問い合わせを】




4-1足音の怪へ続く


ケアンズと森とビーチの休日 目次 | ケアンズぷらすHOME